●血栓症の予防
リスクがあると考えられる人に対しては、抗凝固薬によって血栓症および塞栓症の予防がある程度可能である。
静脈血栓症のもっとも一般的なタイプは深部静脈血栓症(DVT)である。
動脈血栓症では通常心臓に向かう血管で起こるため、心臓発作(心血管疾患。狭心症や心筋梗塞)が起こる。
また脳の血管でも起こるため、脳卒中(のうち一過性脳虚血発作・血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓など)が起こる。
予防には一般的にリスク対便益分析をすることが求められる。
すべての抗凝固薬は大出血の危険が多少増加するからである。
たとえば心房細動では、脳梗塞をおこすリスク(高齢であるとか高血圧であるとかの危険因子を加算した上でのリスク)が、ワルファリンを使用することで少ないとはいえ予想される大出血のリスクを上回る必要がある。
入院患者では、血栓症は(原疾患の)主要な合併症であり、時として死因となる。
たとえばイギリス議会Health Select Committee(en)では2005年、院内発生の血栓症による死亡者が年間25,000人に上ったことが報告され、以来「血栓症予防」が徐々に強調されるようになっている。
外科手術のための入院患者について、段階的な弾性ストッキングの装着は広く行われるようになっており、また重症患者・安静状態が遷延する患者・すべての整形外科手術では診療ガイドラインで低分子量ヘパリンの投与、下肢間欠的空気圧迫法あるいは(以上のいずれも適応禁忌であったり、最近深部静脈血栓症を発症した患者では)下大静脈フィルターの留置を推奨している。
外科的疾患だけでなく内科的疾患の患者でも低分子量ヘパリンはやはり血栓症を防止することが知られており、イギリス主席医務官は正式なガイドラインに先立って、内科患者に対して予防的な方法を講ずるべきであるとする指針を発表している。
以上
2014年08月17日
2014年08月15日
血栓症について(2)
●血栓症について(2)
●塞栓化
血栓症の起こった部位に細菌感染が存在すると、 血栓が破綻して感染物質が体内循環をめぐり(膿血症、敗血症性塞栓)、あらゆる場所に転移性膿瘍を形成する。
感染が存在しなくても血栓は形成された場所から分離して循環系にのり、塞栓(血栓性塞栓、アテローム塞栓)となって最終的にどこかの血管を閉塞して、そこから先の部分は緊急に治療しなければ(酸素と栄養の供給が絶たれるため)組織の壊死(梗塞)を起こすことになる。
この血管閉塞が冠動脈で起これば、心筋の虚血が起こりやすくなり、そのため心筋細胞が酸欠状態となって正常に機能しなくなる。
この酸素の欠乏は心筋梗塞につながる。
しかしほとんどの血栓は線維組織に分解される(線溶系)ため、血栓化した血管は徐々に再灌流することになる。
●分類
静脈血栓症
静脈血栓症は、静脈内での血栓形成が起こる疾患である。以下のように分類される:
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis, DVT)は深部静脈(深静脈とも、筋膜より下部を走行する静脈)の内部で血栓が形成される。
大腿静脈などの下肢の静脈が好発部位である。深部静脈内での血栓形成には、血流の速さ・血液の濃度(ヘマトクリット値)・血管壁の状態の3つの因子が重要である。
DVTの古典的な徴候は、発症部位の腫脹・疼痛・発赤である。
色調は病態によって異なり、発赤のほかにも白色・青色(有痛性青股腫)もある。
肺血栓塞栓症
血栓(凝血塊)ははじめに形成された部位から一部または全部が分離し、血流にのって移動することがある。
この血栓は最終的に身体の別の場所に落ち着くことになり、これを塞栓と呼ぶ。
静脈内で形成された血栓が、肺(の一部)に塞栓を形成するものが肺塞栓症(肺血栓塞栓症)である。
肺静脈(の一部)が完全閉塞を起こすとそれより末梢の肺組織が壊死を起こす。
これが肺梗塞である。肺塞栓症・肺梗塞は、その程度によっては緊急治療が必要であり、それが行われても予後が極めて悪い疾患である。
血栓の形成される部位(原因疾患)としては、深部静脈が最も多いといわれる。
主な危険因子としては、長時間の不動状態以外にも周産期(出産前、出産後)、手術後、悪性腫瘍の存在などがあげられる[7]。
動脈血栓症
動脈血栓症は、動脈内で血栓形成が起きる疾患である。
ほとんどの例では、動脈血栓はアテローム(粥腫、じゅくしゅ)の破綻に伴って形成されるため、アテローム血栓症ともいわれる。
動脈血栓症のもうひとつの主な原因として、心房細動による血流の阻害がある。
さらに単相式電気的除細動器の使用は、特に48時間以上持続している心房細動に対しては血栓塞栓症発症の大きなリスクをもたらすことはよく知られており、抗凝固療法を受けていない患者の約5%に発症する。.
除細動後の血栓塞栓症が起きるメカニズムや病因については、はっきりとはわかっていない。
動脈血栓症は塞栓形成することがあり、動脈塞栓症の主要な原因であり、全身のほぼどの臓器においても梗塞を起こしうる。
脳梗塞
脳卒中は脳への血液供給が阻害されることによって脳の機能が急激に傷害される疾患であり、虚血、血栓、塞栓および出血によって起こりうる。
血栓性脳卒中では、通常血栓は動脈硬化(アテローム性硬化)による血管の粥状隆起(粥腫、プラーク)周囲に形成される。
動脈の閉塞は徐々に起こるため、血栓性脳卒中の症状出現は(他のタイプに比べて)比較的緩やかである。
血栓性脳卒中は内頚動脈や椎骨動脈、ウィリス動脈輪の病変である大血管病と、ウィリス動脈輪の枝(branch、レンズ核線条体動脈など)などのより小さな血管の病変である小血管病(BAD, Branch atheromatous disease)に分けられる。
心筋梗塞
心筋梗塞は心筋が虚血により組織壊死をきたす疾患であり、通常冠動脈の血栓による閉塞が原因となる。
心筋梗塞は緊急的な医療介入が行われなければ、速やかに致死的となることのある疾患である。
発症後12時間以内に診断がつけば、再灌流療法が施行される。
●塞栓化
血栓症の起こった部位に細菌感染が存在すると、 血栓が破綻して感染物質が体内循環をめぐり(膿血症、敗血症性塞栓)、あらゆる場所に転移性膿瘍を形成する。
感染が存在しなくても血栓は形成された場所から分離して循環系にのり、塞栓(血栓性塞栓、アテローム塞栓)となって最終的にどこかの血管を閉塞して、そこから先の部分は緊急に治療しなければ(酸素と栄養の供給が絶たれるため)組織の壊死(梗塞)を起こすことになる。
この血管閉塞が冠動脈で起これば、心筋の虚血が起こりやすくなり、そのため心筋細胞が酸欠状態となって正常に機能しなくなる。
この酸素の欠乏は心筋梗塞につながる。
しかしほとんどの血栓は線維組織に分解される(線溶系)ため、血栓化した血管は徐々に再灌流することになる。
●分類
静脈血栓症
静脈血栓症は、静脈内での血栓形成が起こる疾患である。以下のように分類される:
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis, DVT)は深部静脈(深静脈とも、筋膜より下部を走行する静脈)の内部で血栓が形成される。
大腿静脈などの下肢の静脈が好発部位である。深部静脈内での血栓形成には、血流の速さ・血液の濃度(ヘマトクリット値)・血管壁の状態の3つの因子が重要である。
DVTの古典的な徴候は、発症部位の腫脹・疼痛・発赤である。
色調は病態によって異なり、発赤のほかにも白色・青色(有痛性青股腫)もある。
肺血栓塞栓症
血栓(凝血塊)ははじめに形成された部位から一部または全部が分離し、血流にのって移動することがある。
この血栓は最終的に身体の別の場所に落ち着くことになり、これを塞栓と呼ぶ。
静脈内で形成された血栓が、肺(の一部)に塞栓を形成するものが肺塞栓症(肺血栓塞栓症)である。
肺静脈(の一部)が完全閉塞を起こすとそれより末梢の肺組織が壊死を起こす。
これが肺梗塞である。肺塞栓症・肺梗塞は、その程度によっては緊急治療が必要であり、それが行われても予後が極めて悪い疾患である。
血栓の形成される部位(原因疾患)としては、深部静脈が最も多いといわれる。
主な危険因子としては、長時間の不動状態以外にも周産期(出産前、出産後)、手術後、悪性腫瘍の存在などがあげられる[7]。
動脈血栓症
動脈血栓症は、動脈内で血栓形成が起きる疾患である。
ほとんどの例では、動脈血栓はアテローム(粥腫、じゅくしゅ)の破綻に伴って形成されるため、アテローム血栓症ともいわれる。
動脈血栓症のもうひとつの主な原因として、心房細動による血流の阻害がある。
さらに単相式電気的除細動器の使用は、特に48時間以上持続している心房細動に対しては血栓塞栓症発症の大きなリスクをもたらすことはよく知られており、抗凝固療法を受けていない患者の約5%に発症する。.
除細動後の血栓塞栓症が起きるメカニズムや病因については、はっきりとはわかっていない。
動脈血栓症は塞栓形成することがあり、動脈塞栓症の主要な原因であり、全身のほぼどの臓器においても梗塞を起こしうる。
脳梗塞
脳卒中は脳への血液供給が阻害されることによって脳の機能が急激に傷害される疾患であり、虚血、血栓、塞栓および出血によって起こりうる。
血栓性脳卒中では、通常血栓は動脈硬化(アテローム性硬化)による血管の粥状隆起(粥腫、プラーク)周囲に形成される。
動脈の閉塞は徐々に起こるため、血栓性脳卒中の症状出現は(他のタイプに比べて)比較的緩やかである。
血栓性脳卒中は内頚動脈や椎骨動脈、ウィリス動脈輪の病変である大血管病と、ウィリス動脈輪の枝(branch、レンズ核線条体動脈など)などのより小さな血管の病変である小血管病(BAD, Branch atheromatous disease)に分けられる。
心筋梗塞
心筋梗塞は心筋が虚血により組織壊死をきたす疾患であり、通常冠動脈の血栓による閉塞が原因となる。
心筋梗塞は緊急的な医療介入が行われなければ、速やかに致死的となることのある疾患である。
発症後12時間以内に診断がつけば、再灌流療法が施行される。
2014年08月14日
血栓症について(1)
血栓症(けっせんしょう)は血管内に血栓が形成され、循環系における血流が閉塞するヒトの病態である。
ある血管が傷害されると、失血を防ぐために血小板とフィブリンによって凝血塊が形成される(外因性血液凝固)。
一方血管が傷害されていない場合でも、ある適当な環境の下では凝血塊が形成されることがある(内因性血液凝固)。
もしこの内因性凝固の程度が激しいと、凝血塊は形成された血管内皮から遊離し、血管内を流れて塞栓となる。
血栓塞栓症(けっせんそくせんしょう)とは血栓形成とその主な合併症である塞栓症をあわせたものの名称である。
血管内腔の面積の75%以上を血栓が占めると、組織に供給される血流が低下し、その結果酸素供給の低下(低酸素症)および代謝産物である乳酸の蓄積に伴う症状が現れる。
さらに内腔の90%以上が閉塞すると完全な酸素喪失状態になり、その結果細胞死の状態すなわち梗塞となる。
●血栓症の原因
古典的な定義として、血栓症は以下のうち一つ以上の異常によって起こる(ウィルヒョウの三徴):
・血液組成(凝固能亢進または血栓形成傾向)
・血管壁の状態(内皮細胞障害)
・血流の状態(うっ血、乱流)
凝固能亢進
凝固能亢進状態は遺伝子欠損や自己免疫疾患、炎症の亢進、線溶系低下などが原因となる。
重症肺炎からDICを起こしたり、癌に深部静脈血栓症を合併するなどがある。
内皮細胞障害
血管壁障害の原因となるものにはアテローム性動脈硬化、外傷、外科手術、感染症、血管分岐部での乱流などがある。
主な傷害のメカニズムは血液凝固系への組織因子の曝露である。
血流の乱れ
血流障害の原因は、血管内皮傷害部位の遠位における血流の停滞や心不全などで起こる静脈血のうっ滞、あるいは航空機への搭乗のような長時間座位保持などである。
心房細動も左心耳の血流うっ滞による血栓塞栓症の原因となる。
がんや白血病のような悪性腫瘍は血管を外部から圧迫したり、より稀ではあるが(腎細胞がんが腎静脈内に進展するように)脈管内部への伸展によって血栓症のリスクを高める。
がん治療(放射線療法や化学療法)もしばしば凝固能をさらに亢進させる。
ある血管が傷害されると、失血を防ぐために血小板とフィブリンによって凝血塊が形成される(外因性血液凝固)。
一方血管が傷害されていない場合でも、ある適当な環境の下では凝血塊が形成されることがある(内因性血液凝固)。
もしこの内因性凝固の程度が激しいと、凝血塊は形成された血管内皮から遊離し、血管内を流れて塞栓となる。
血栓塞栓症(けっせんそくせんしょう)とは血栓形成とその主な合併症である塞栓症をあわせたものの名称である。
血管内腔の面積の75%以上を血栓が占めると、組織に供給される血流が低下し、その結果酸素供給の低下(低酸素症)および代謝産物である乳酸の蓄積に伴う症状が現れる。
さらに内腔の90%以上が閉塞すると完全な酸素喪失状態になり、その結果細胞死の状態すなわち梗塞となる。
●血栓症の原因
古典的な定義として、血栓症は以下のうち一つ以上の異常によって起こる(ウィルヒョウの三徴):
・血液組成(凝固能亢進または血栓形成傾向)
・血管壁の状態(内皮細胞障害)
・血流の状態(うっ血、乱流)
凝固能亢進
凝固能亢進状態は遺伝子欠損や自己免疫疾患、炎症の亢進、線溶系低下などが原因となる。
重症肺炎からDICを起こしたり、癌に深部静脈血栓症を合併するなどがある。
内皮細胞障害
血管壁障害の原因となるものにはアテローム性動脈硬化、外傷、外科手術、感染症、血管分岐部での乱流などがある。
主な傷害のメカニズムは血液凝固系への組織因子の曝露である。
血流の乱れ
血流障害の原因は、血管内皮傷害部位の遠位における血流の停滞や心不全などで起こる静脈血のうっ滞、あるいは航空機への搭乗のような長時間座位保持などである。
心房細動も左心耳の血流うっ滞による血栓塞栓症の原因となる。
がんや白血病のような悪性腫瘍は血管を外部から圧迫したり、より稀ではあるが(腎細胞がんが腎静脈内に進展するように)脈管内部への伸展によって血栓症のリスクを高める。
がん治療(放射線療法や化学療法)もしばしば凝固能をさらに亢進させる。
2014年08月10日
ヒスタミンH2受容体拮抗薬について
●ヒスタミンH2受容体拮抗薬とは
ヒスタミンH2受容体拮抗薬(ヒスタミンエイチツーじゅようたいきっこうやく、Histamine H2-receptor antagonist)とはH2ブロッカーとも呼ばれ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる薬品である。
その作用機序は胃の壁細胞に存在し胃酸分泌を促進するヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗することである。
●開発の経緯
ヒスタミンH2受容体拮抗薬の原型となっているシメチジンはアメリカのスミスクライン&フレンチ・ラボラトリーズ(SK&F、現在のグラクソ・スミスクライン)でジェームス・ブラックらの研究によって合成された。
1964年当時、ヒスタミンが胃酸分泌を促進することは知られていたが旧来のヒスタミンの拮抗薬では胃酸分泌を抑制することはできなかった。
この研究過程で彼らはヒスタミン受容体にH1とH2の2つのタイプがあることを明らかにした。
彼らはH2受容体について何も判っていなかったので、まずヒスタミンの構造を少し変えた薬品を合成し作用を確かめてみた。
最初の進歩はNα-グアニルヒスタミンだった。
この薬品はH2受容体を部分的に拮抗した。
この延長線でH2受容体の詳しい構造が判り、最初のH2受容体拮抗薬であるブリマミドの合成に至った。
ブリマミドはH2受容体に特異的な競合拮抗薬で作用はNαグアニルヒスタミンの100倍であった。
ここにH2受容体の存在は確立した。ブリマミドは経口投与した場合の作用が弱かったのでこれを改良したメチアミド(Metiamide)が開発された。
ところがメチアミドには腎毒性と顆粒球の抑制作用が明らかになったのでさらに改良し、ついにシメチジンの開発に至った。
●薬理作用
ヒスタミンH2受容体拮抗薬は胃の壁細胞にあるヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗する。
これにより平時の胃酸の分泌および食物による胃酸の分泌の双方を抑制する。
これには2通りのしくみがあると考えられている。
ヒスタミンがH2受容体に結合するのを妨げるのと、ガストリンやアセチルコリンの持つ胃酸分泌刺激作用が弱まるということである。
●臨床応用
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
逆流性食道炎(胃食道逆流症)
ゾリンジャー・エリスン(Zollinger-Ellison)症候群
胸焼け(英: heartburn & acid indigestion)
●ヒスタミンH2受容体拮抗薬の例
シメチジン(商品名:タガメット、アルサメック錠など)
塩酸ラニチジン(商品名:ザンタック、アバロンZ、三共Z胃腸薬など)
ファモチジン(商品名:ガスター、ガスター10など)
ニザチジン(商品名:アシノン、アシノンZなど)
塩酸ロキサチジンアセタート(商品名:アルタット、アルタットA・イノセアワンブロックなど)
ラフチジン(商品名:プロテカジン、ストガー)
●副作用
ヒスタミンH2受容体は人間の場合、胃壁の他、心筋等にも存在する。
ヒスタミンH2受容体拮抗薬は心筋の受容体にも影響を与えるため、不整脈等の心臓の異常を起こすことがある。
特に心臓病の患者が摂取することは禁忌とされる。
ファモチジンを含む市販薬では死亡例も確認されている。
その他、低血圧、下痢、めまい、頭痛、発赤がみられることがある。
シメチジンは抗アンドロゲン作用(性欲の低下、インポテンツ)がみられることがあるが中止すると回復する。
以上
ヒスタミンH2受容体拮抗薬(ヒスタミンエイチツーじゅようたいきっこうやく、Histamine H2-receptor antagonist)とはH2ブロッカーとも呼ばれ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる薬品である。
その作用機序は胃の壁細胞に存在し胃酸分泌を促進するヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗することである。
●開発の経緯
ヒスタミンH2受容体拮抗薬の原型となっているシメチジンはアメリカのスミスクライン&フレンチ・ラボラトリーズ(SK&F、現在のグラクソ・スミスクライン)でジェームス・ブラックらの研究によって合成された。
1964年当時、ヒスタミンが胃酸分泌を促進することは知られていたが旧来のヒスタミンの拮抗薬では胃酸分泌を抑制することはできなかった。
この研究過程で彼らはヒスタミン受容体にH1とH2の2つのタイプがあることを明らかにした。
彼らはH2受容体について何も判っていなかったので、まずヒスタミンの構造を少し変えた薬品を合成し作用を確かめてみた。
最初の進歩はNα-グアニルヒスタミンだった。
この薬品はH2受容体を部分的に拮抗した。
この延長線でH2受容体の詳しい構造が判り、最初のH2受容体拮抗薬であるブリマミドの合成に至った。
ブリマミドはH2受容体に特異的な競合拮抗薬で作用はNαグアニルヒスタミンの100倍であった。
ここにH2受容体の存在は確立した。ブリマミドは経口投与した場合の作用が弱かったのでこれを改良したメチアミド(Metiamide)が開発された。
ところがメチアミドには腎毒性と顆粒球の抑制作用が明らかになったのでさらに改良し、ついにシメチジンの開発に至った。
●薬理作用
ヒスタミンH2受容体拮抗薬は胃の壁細胞にあるヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗する。
これにより平時の胃酸の分泌および食物による胃酸の分泌の双方を抑制する。
これには2通りのしくみがあると考えられている。
ヒスタミンがH2受容体に結合するのを妨げるのと、ガストリンやアセチルコリンの持つ胃酸分泌刺激作用が弱まるということである。
●臨床応用
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
逆流性食道炎(胃食道逆流症)
ゾリンジャー・エリスン(Zollinger-Ellison)症候群
胸焼け(英: heartburn & acid indigestion)
●ヒスタミンH2受容体拮抗薬の例
シメチジン(商品名:タガメット、アルサメック錠など)
塩酸ラニチジン(商品名:ザンタック、アバロンZ、三共Z胃腸薬など)
ファモチジン(商品名:ガスター、ガスター10など)
ニザチジン(商品名:アシノン、アシノンZなど)
塩酸ロキサチジンアセタート(商品名:アルタット、アルタットA・イノセアワンブロックなど)
ラフチジン(商品名:プロテカジン、ストガー)
●副作用
ヒスタミンH2受容体は人間の場合、胃壁の他、心筋等にも存在する。
ヒスタミンH2受容体拮抗薬は心筋の受容体にも影響を与えるため、不整脈等の心臓の異常を起こすことがある。
特に心臓病の患者が摂取することは禁忌とされる。
ファモチジンを含む市販薬では死亡例も確認されている。
その他、低血圧、下痢、めまい、頭痛、発赤がみられることがある。
シメチジンは抗アンドロゲン作用(性欲の低下、インポテンツ)がみられることがあるが中止すると回復する。
以上
2014年08月05日
プロトンポンプ阻害薬について
●プロトンポンプ阻害薬について
プロトンポンプ (Proton Pump) は、生物体内で光エネルギーなどを利用して水素イオン(プロトン)を能動輸送し、生体膜の内外に膜電位やプロトン勾配を作り出す機能、またはそれを行うタンパク質複合体をいう。
プロトンポンプによって形成されたプロトン勾配はATP合成などに利用される。
ATP合成酵素自身も逆反応として、ATPの加水分解によるエネルギーを利用してプロトンポンプとして働くことができる。
胃酸の分泌にもこのATPをエネルギー源とするタイプのプロトンポンプが働いている。
高度好塩菌の表面に存在する紫膜では、バクテリオロドプシンと呼ばれるタンパク質が配向しており、光エネルギーを利用しプロトンポンプ機能を発現している。
このほか光合成反応中心(光による)や、電子伝達系(酸化還元による)もプロトンポンプ機能を持っている。
●オメプラゾール
オメプラゾール(英: omeprazole)は、プロトンポンプ阻害薬に属する胃酸抑制薬の1つ。
略称はOPZ。
アストラゼネカ株式会社からオメプラール、三菱ウェルファーマ株式会社からオメプラゾンの商品名で発売されている。
胃の壁細胞に存在するプロトンポンプを直接抑制することによりH+の放出を阻害し、胃酸の産生を抑制する。
消化性潰瘍の治療に使用される。
●効果・効能
胃潰瘍
吻合部潰瘍
1回10〜20mgを1日1回投与する。期間は8週間までとする。
十二指腸潰瘍
1回10〜20mgを1日1回投与する。期間は6週間までとする。
逆流性食道炎
1回10〜20mgを1日1回、8週間投与する。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法の場合、1日1回10〜20mgの長期投与が可能。
非びらん性胃食道逆流症(NERD)
1回10mgを1日1回、期間は4週間までとする。
ゾリンジャー・エリソン症候群
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
●副作用
主な副作用は、頭痛、かすみ目、下痢・軟便、便秘、白血球減少、発疹・発熱、頻尿、月経異常、脱毛、女性化乳房、ALT・AST上昇等の肝障害、BUN上昇等。
まれに重い造血障害、横紋筋融解症、さらには急性腎不全、また激しい過敏症としてスティーブンス・ジョンソン症候群、間質性肺炎などの重い副作用もある。
●ランソプラゾール
ランソプラゾール(英: lansoprazole)とは、胃からの酸の産生を抑制するプロトンポンプ阻害薬の一つ。
ランソプラゾールは世界中の多くの企業で生産されており、種々の商品名がある(Prevacid、Helicid、Zoton、Inhibitolなど)。
アメリカ食品医薬品局は、1995年にランソプラゾールを最初に認可した。
日本で初めて上市された商品名は、タケプロン(武田薬品工業)。
後に後発品も多数販売されている。
ヘリコバクター・ピロリ除菌にも有用で、日本では一次除菌・二次除菌に認可されている。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の他、逆流性食道炎にも日本では認可されている。
上部消化管出血には注射剤も上市されている。
●ラベプラゾール
ラベプラゾール(ラベプラゾールナトリウム - Sodium Rabeprazole)とは、プロトンポンプ阻害薬に属する胃酸分泌抑制薬の一つ。
略称はRPZ。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療に用いる。
先発品は「Pariet(パリエット)」として、日本、英国、ギリシャ、オーストラリア、カナダ、ロシア、ブラジル等で販売されている。
米国では「AcipHex(アシフェックス)」として販売されている。
日本での製造販売は、エーザイ株式会社。
日本では後発品が2010年11月に各社から発売されている。
●エソメプラゾール
エソメプラゾール (英: esomeprazole) は、日本では4番目に開発・上市されたプロトンポンプ阻害剤である。
●概要
日本国外では Zoleri、Nexium、Lucen、Esopralなどの商品名でアストラゼネカから製造販売されている。
日本では2011年よりネキシウムの商品名で製造・開発: アストラゼネカ、流通・販売: 第一三共で上市された。
エスメプラゾールはオメプラゾール(商品名:Losec/Prilosec)のS-エナンチオマーであり、アストラゼネカは、単一のエナンチオマーであるエスメプラゾールはラセミ混合物であるオメプラゾールよりも薬効が改善していると主張している。
しかしながら、活性が向上しているかについては議論があり、一部ではオメプラゾールからエスメプラゾールに切り替える利点はないと主張されている。
プロトンポンプ阻害剤であるエスメプラゾールは、胃壁細胞のATPアーゼを阻害することによって胃酸分泌を抑制する。
●薬理
エソメプラゾールは、オメプラゾールを光学分割したS-エナンチオマーである。
S体はR体に比べ、肝臓での初回通過効果を受けにくく、未変化体のAUCはオメプラゾールに比べおよそ1.7倍で推移するため、より強い酸分泌抑制効果を示す。
S体とR体の酸分泌抑制作用には差はない。
以上
プロトンポンプ (Proton Pump) は、生物体内で光エネルギーなどを利用して水素イオン(プロトン)を能動輸送し、生体膜の内外に膜電位やプロトン勾配を作り出す機能、またはそれを行うタンパク質複合体をいう。
プロトンポンプによって形成されたプロトン勾配はATP合成などに利用される。
ATP合成酵素自身も逆反応として、ATPの加水分解によるエネルギーを利用してプロトンポンプとして働くことができる。
胃酸の分泌にもこのATPをエネルギー源とするタイプのプロトンポンプが働いている。
高度好塩菌の表面に存在する紫膜では、バクテリオロドプシンと呼ばれるタンパク質が配向しており、光エネルギーを利用しプロトンポンプ機能を発現している。
このほか光合成反応中心(光による)や、電子伝達系(酸化還元による)もプロトンポンプ機能を持っている。
●オメプラゾール
オメプラゾール(英: omeprazole)は、プロトンポンプ阻害薬に属する胃酸抑制薬の1つ。
略称はOPZ。
アストラゼネカ株式会社からオメプラール、三菱ウェルファーマ株式会社からオメプラゾンの商品名で発売されている。
胃の壁細胞に存在するプロトンポンプを直接抑制することによりH+の放出を阻害し、胃酸の産生を抑制する。
消化性潰瘍の治療に使用される。
●効果・効能
胃潰瘍
吻合部潰瘍
1回10〜20mgを1日1回投与する。期間は8週間までとする。
十二指腸潰瘍
1回10〜20mgを1日1回投与する。期間は6週間までとする。
逆流性食道炎
1回10〜20mgを1日1回、8週間投与する。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法の場合、1日1回10〜20mgの長期投与が可能。
非びらん性胃食道逆流症(NERD)
1回10mgを1日1回、期間は4週間までとする。
ゾリンジャー・エリソン症候群
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
●副作用
主な副作用は、頭痛、かすみ目、下痢・軟便、便秘、白血球減少、発疹・発熱、頻尿、月経異常、脱毛、女性化乳房、ALT・AST上昇等の肝障害、BUN上昇等。
まれに重い造血障害、横紋筋融解症、さらには急性腎不全、また激しい過敏症としてスティーブンス・ジョンソン症候群、間質性肺炎などの重い副作用もある。
●ランソプラゾール
ランソプラゾール(英: lansoprazole)とは、胃からの酸の産生を抑制するプロトンポンプ阻害薬の一つ。
ランソプラゾールは世界中の多くの企業で生産されており、種々の商品名がある(Prevacid、Helicid、Zoton、Inhibitolなど)。
アメリカ食品医薬品局は、1995年にランソプラゾールを最初に認可した。
日本で初めて上市された商品名は、タケプロン(武田薬品工業)。
後に後発品も多数販売されている。
ヘリコバクター・ピロリ除菌にも有用で、日本では一次除菌・二次除菌に認可されている。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の他、逆流性食道炎にも日本では認可されている。
上部消化管出血には注射剤も上市されている。
●ラベプラゾール
ラベプラゾール(ラベプラゾールナトリウム - Sodium Rabeprazole)とは、プロトンポンプ阻害薬に属する胃酸分泌抑制薬の一つ。
略称はRPZ。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療に用いる。
先発品は「Pariet(パリエット)」として、日本、英国、ギリシャ、オーストラリア、カナダ、ロシア、ブラジル等で販売されている。
米国では「AcipHex(アシフェックス)」として販売されている。
日本での製造販売は、エーザイ株式会社。
日本では後発品が2010年11月に各社から発売されている。
●エソメプラゾール
エソメプラゾール (英: esomeprazole) は、日本では4番目に開発・上市されたプロトンポンプ阻害剤である。
●概要
日本国外では Zoleri、Nexium、Lucen、Esopralなどの商品名でアストラゼネカから製造販売されている。
日本では2011年よりネキシウムの商品名で製造・開発: アストラゼネカ、流通・販売: 第一三共で上市された。
エスメプラゾールはオメプラゾール(商品名:Losec/Prilosec)のS-エナンチオマーであり、アストラゼネカは、単一のエナンチオマーであるエスメプラゾールはラセミ混合物であるオメプラゾールよりも薬効が改善していると主張している。
しかしながら、活性が向上しているかについては議論があり、一部ではオメプラゾールからエスメプラゾールに切り替える利点はないと主張されている。
プロトンポンプ阻害剤であるエスメプラゾールは、胃壁細胞のATPアーゼを阻害することによって胃酸分泌を抑制する。
●薬理
エソメプラゾールは、オメプラゾールを光学分割したS-エナンチオマーである。
S体はR体に比べ、肝臓での初回通過効果を受けにくく、未変化体のAUCはオメプラゾールに比べおよそ1.7倍で推移するため、より強い酸分泌抑制効果を示す。
S体とR体の酸分泌抑制作用には差はない。
以上
ラベル:プロトンポンプ阻害薬
プロトンポンプ阻害薬について
●プロトンポンプ阻害薬について
プロトンポンプ阻害薬とは?
プロトンポンプ阻害薬(-そがいやく、英: PPI; Proton pump inhibitor)とは胃の壁細胞のプロトンポンプに作用し、胃酸の分泌を抑制する薬である。
胃酸分泌抑制作用を持つ薬剤には他にヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)があるがプロトンポンプ阻害薬はH2ブロッカーよりも強力な胃酸分泌抑制作用を持ち、分泌抑制作用は用量に依存する。
H2ブロッカーよりも抑制作用が長時間持続する。
●プロトンポンプ阻害薬の適用
プロトンポンプ阻害薬は以下の疾患の治療に用いられ、投与中は定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。
・消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍)
・Zollinger-Ellison症候群(en)
・逆流性食道炎
・ヘリコバクター・ピロリの除菌補助:抗生物質であるクラリスロマイシン(商品名:クラリスなど)とアモキシシリン(商品名:サワシリンなど)と共に用いられる。
●相互作用・副作用
相互作用が報告されている薬剤等
水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム含有の制酸剤、ジゴキシンメチルジゴキシン、イトラコナゾールゲフィチニブ、アタザナビル硫酸塩、クロピドグレルとの併用は注意また禁忌とされる。
おもな副作用
アナフィラキシー、血小板減少、溶血性貧血、横紋筋融解症、劇症肝炎、低ナトリウム血症、視力障害、血管浮腫
胃酸による殺菌作用が抑制される結果、腸内細菌叢の変化を引き起こし小腸の炎症が増強される事が報告されている。
●プロトンポンプ阻害薬の例
オメプラゾール(製品の代表的なもの:オメプラール・オメプラゾン)
ランソプラゾール(製品の代表的なもの:タケプロン・タケプロンOD錠, 武田薬品工業製造販売)
ラベプラゾールナトリウム(製品名:パリエット[3], エーザイ製造販売)
エソメプラゾール(製品名: ネキシウム, アストラゼネカ製造, 第一三共販売)
以上
プロトンポンプ阻害薬とは?
プロトンポンプ阻害薬(-そがいやく、英: PPI; Proton pump inhibitor)とは胃の壁細胞のプロトンポンプに作用し、胃酸の分泌を抑制する薬である。
胃酸分泌抑制作用を持つ薬剤には他にヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)があるがプロトンポンプ阻害薬はH2ブロッカーよりも強力な胃酸分泌抑制作用を持ち、分泌抑制作用は用量に依存する。
H2ブロッカーよりも抑制作用が長時間持続する。
●プロトンポンプ阻害薬の適用
プロトンポンプ阻害薬は以下の疾患の治療に用いられ、投与中は定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。
・消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍)
・Zollinger-Ellison症候群(en)
・逆流性食道炎
・ヘリコバクター・ピロリの除菌補助:抗生物質であるクラリスロマイシン(商品名:クラリスなど)とアモキシシリン(商品名:サワシリンなど)と共に用いられる。
●相互作用・副作用
相互作用が報告されている薬剤等
水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム含有の制酸剤、ジゴキシンメチルジゴキシン、イトラコナゾールゲフィチニブ、アタザナビル硫酸塩、クロピドグレルとの併用は注意また禁忌とされる。
おもな副作用
アナフィラキシー、血小板減少、溶血性貧血、横紋筋融解症、劇症肝炎、低ナトリウム血症、視力障害、血管浮腫
胃酸による殺菌作用が抑制される結果、腸内細菌叢の変化を引き起こし小腸の炎症が増強される事が報告されている。
●プロトンポンプ阻害薬の例
オメプラゾール(製品の代表的なもの:オメプラール・オメプラゾン)
ランソプラゾール(製品の代表的なもの:タケプロン・タケプロンOD錠, 武田薬品工業製造販売)
ラベプラゾールナトリウム(製品名:パリエット[3], エーザイ製造販売)
エソメプラゾール(製品名: ネキシウム, アストラゼネカ製造, 第一三共販売)
以上
2014年07月29日
消化性潰瘍とは?(2)
●消化性潰瘍とは?(2)
●消化性潰瘍の分類
胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともに内視鏡所見から以下の分類を用いて評価することが多い。
崎田分類
潰瘍の治癒状態を分類したもの。1961年に国立がんセンターの崎田隆夫(後に筑波大学教授)・大森皓次・三輪剛(後に東海大学教授)等が作成したもの。
元々は内視鏡観察ではなく当時の主流である「胃透視画像(バリウム造影)」から提唱されたものであるが、内視鏡観察が広く行われるようになってきた現在でも広く用いられている。
活動期(Active stage):潰瘍辺縁の浮腫像・厚い潰瘍白苔がある時期 A1:出血や血液の付着した潰瘍底はやや汚い白苔の状態
A2:潰瘍底はきれいな厚い白苔の状態 潰瘍辺縁の浮腫像は改善してくる時期
治癒過程期(Healing stage):潰瘍辺縁の浮腫像の消失・壁集中像・再生上皮の出現が見られてくる時期 H1:再生上皮が少し出現している(潰瘍の50%以下)
H2:再生上皮に多く覆われてきている(潰瘍の50%以上)
瘢痕期(Scar stage):潰瘍白苔が消失した時期
S1:赤色瘢痕
S2:白色瘢痕
Forrest分類
潰瘍の出血状態を分類したもの。1974年にJohn Forrestが「Lancet」に発表したもの。
現在は以下のWalter Heldweinによる改変版が広く用いられている。
Active bleeding(活動性出血)
Ia:Spurting bleed(噴出性出血)
Ib:Oozing bleed(漏出性出血)
Recent bleeding(最近の出血)
IIa:Non-bleeding visible vessel(出血の無い露出血管)
IIb:Adherent blood clot・Black base(凝血塊の付着・黒色潰瘍底)
No bleeding(出血無し)
III:Lesion without stigmata of recent bleeding(最近の出血所見の無い病変)
●消化性潰瘍の治療
緊急治療[編集]
出血病変・穿孔病変に対しては以下の緊急処置が行われる
出血性胃潰瘍・十二指腸潰瘍
潰瘍からの出血兆候を認める場合、以下の上部消化管内視鏡による内視鏡的止血術が行われる。
clip止血
局注止血 エピネフリン添加高張食塩水(HSE:Hypertonic Saline-Epinephrine)
純エタノール
高周波凝固止血
APC(argon plasma coagulation)止血
稀に内視鏡的な止血困難な症例は腹部血管カテーテル検査によって出血血管の塞栓術(IVR)が施行されたり、または手術(胃切開+出血血管縫合止血術+潰瘍縫縮術)が施行される場合もある。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍穿孔
潰瘍穿孔を来たした場合、消化管穿孔として腹膜炎発症のコントロールが重要となってくる。
基本的に絶食・輸液管理・胃管挿入・抗菌薬投与による保存的加療にて穿孔が自然閉鎖し軽快することも多いが、穿孔が巨大であったり腹膜炎が生じていたりするようであれば手術(穿孔部縫合術+大網被覆術+腹腔内洗浄)が行われる。
薬物治療
旧来、消化性潰瘍の治療としては胃切除術が施行されてきたが抗潰瘍薬の開発と共に消化性潰瘍の治療は以下の内服治療が基本となっている。
胃酸分泌抑制薬
プロトンポンプ阻害薬
ヒスタミンH2受容体拮抗薬
胃粘膜保護剤
アルギン酸ナトリウム
制酸剤
炭酸カルシウム
炭酸水素ナトリウム
H.Pylori除菌
ヘリコバクター・ピロリを保有している場合、再発予防として除菌療法を行うことが推奨されている。
以上
●消化性潰瘍の分類
胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともに内視鏡所見から以下の分類を用いて評価することが多い。
崎田分類
潰瘍の治癒状態を分類したもの。1961年に国立がんセンターの崎田隆夫(後に筑波大学教授)・大森皓次・三輪剛(後に東海大学教授)等が作成したもの。
元々は内視鏡観察ではなく当時の主流である「胃透視画像(バリウム造影)」から提唱されたものであるが、内視鏡観察が広く行われるようになってきた現在でも広く用いられている。
活動期(Active stage):潰瘍辺縁の浮腫像・厚い潰瘍白苔がある時期 A1:出血や血液の付着した潰瘍底はやや汚い白苔の状態
A2:潰瘍底はきれいな厚い白苔の状態 潰瘍辺縁の浮腫像は改善してくる時期
治癒過程期(Healing stage):潰瘍辺縁の浮腫像の消失・壁集中像・再生上皮の出現が見られてくる時期 H1:再生上皮が少し出現している(潰瘍の50%以下)
H2:再生上皮に多く覆われてきている(潰瘍の50%以上)
瘢痕期(Scar stage):潰瘍白苔が消失した時期
S1:赤色瘢痕
S2:白色瘢痕
Forrest分類
潰瘍の出血状態を分類したもの。1974年にJohn Forrestが「Lancet」に発表したもの。
現在は以下のWalter Heldweinによる改変版が広く用いられている。
Active bleeding(活動性出血)
Ia:Spurting bleed(噴出性出血)
Ib:Oozing bleed(漏出性出血)
Recent bleeding(最近の出血)
IIa:Non-bleeding visible vessel(出血の無い露出血管)
IIb:Adherent blood clot・Black base(凝血塊の付着・黒色潰瘍底)
No bleeding(出血無し)
III:Lesion without stigmata of recent bleeding(最近の出血所見の無い病変)
●消化性潰瘍の治療
緊急治療[編集]
出血病変・穿孔病変に対しては以下の緊急処置が行われる
出血性胃潰瘍・十二指腸潰瘍
潰瘍からの出血兆候を認める場合、以下の上部消化管内視鏡による内視鏡的止血術が行われる。
clip止血
局注止血 エピネフリン添加高張食塩水(HSE:Hypertonic Saline-Epinephrine)
純エタノール
高周波凝固止血
APC(argon plasma coagulation)止血
稀に内視鏡的な止血困難な症例は腹部血管カテーテル検査によって出血血管の塞栓術(IVR)が施行されたり、または手術(胃切開+出血血管縫合止血術+潰瘍縫縮術)が施行される場合もある。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍穿孔
潰瘍穿孔を来たした場合、消化管穿孔として腹膜炎発症のコントロールが重要となってくる。
基本的に絶食・輸液管理・胃管挿入・抗菌薬投与による保存的加療にて穿孔が自然閉鎖し軽快することも多いが、穿孔が巨大であったり腹膜炎が生じていたりするようであれば手術(穿孔部縫合術+大網被覆術+腹腔内洗浄)が行われる。
薬物治療
旧来、消化性潰瘍の治療としては胃切除術が施行されてきたが抗潰瘍薬の開発と共に消化性潰瘍の治療は以下の内服治療が基本となっている。
胃酸分泌抑制薬
プロトンポンプ阻害薬
ヒスタミンH2受容体拮抗薬
胃粘膜保護剤
アルギン酸ナトリウム
制酸剤
炭酸カルシウム
炭酸水素ナトリウム
H.Pylori除菌
ヘリコバクター・ピロリを保有している場合、再発予防として除菌療法を行うことが推奨されている。
以上
消化性潰瘍とは?(1)
●消化性潰瘍とは?(1)
消化性潰瘍(しょうかせいかいよう、英:Peptic ulcer)とは主に胃酸が要因となって生じる潰瘍のことである。
●消化性潰瘍の分類
潰瘍の生じる部位別に旧来通り以下の通りに称される。
胃潰瘍(Gastric ulcer or Stomach ulcer)
十二指腸潰瘍(Duodenal ulcer)
食道潰瘍(esophageal ulcer)
デュラフォイ潰瘍(仏:Ulcère de Dieulafoy)
比較的小さな潰瘍であるが大出血を生じる潰瘍として1898年にフランスの外科医Paul Georges Dieulafoyが報告したもの。
粘膜浅層の血管の走行上部にちょうど潰瘍が生じることで、小さく浅い潰瘍でも血管破綻を生じ大出血する潰瘍。
急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)
急性十二指腸粘膜病変(ADML:acute duodenal mucosal lesion)
●消化性潰瘍の成因
胃潰瘍
通常は強酸である胃酸の分泌に対し、胃内の粘膜は粘膜保護が作用し攻撃因子・防御因子のバランスが保たれている。
胃潰瘍は主に、粘膜保護作用の低下によって防御因子が低下することで生じる。
十二指腸潰瘍
ヘリコバクター・ピロリ(H.Pylori)保菌者が多く、比較的若年者に多い。
H.Pyloriが胃前庭部に潜伏し始め、持続的にガストリン分泌刺激が促され胃酸分泌過多を生じることによって生じるとされている。
十二指腸潰瘍は食前・空腹時に痛みが増悪することが知られているが、摂食刺激によってセクレチンが分泌されガストリン分泌が抑制され胃酸分泌が少なくなるためと考えられている。
●消化性潰瘍の要因
リスクファクターは主に胃粘膜保護の減少である防御因子の低下を助長するものであり、以下が知られている。
飲酒
喫煙
塩分
熱いもの
ストレス
コーヒー(カフェイン)
NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬 Non steroidal anti-inflammatory drugs)
NSAIDsは鎮痛薬や抗血小板剤として広く用いられCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を阻害する作用を有し、このうちCOX-1が阻害されることで胃粘膜防御因子のPGE2(プロスタグランジン)産生低下が生じ潰瘍を生じやすいとされている。
COX-2のみを選択的に阻害するNSAIDsでは比較的生じにくい。
ステロイド
旧来よりステロイド(一般に糖質コルチコイド製剤)使用にて消化性潰瘍発症が高くなると言われていたが、近年のメタアナリシス報告で潰瘍発症の有意差は無いことが指摘されステロイドは消化性潰瘍のリスクファクターでは無いことが証明されてきた。
●消化性潰瘍の臨床像
胃潰瘍・十二指腸潰瘍共に以下の症状が基本となって生じてくる。
上腹部痛・心窩部痛(いわゆる胃の痛み)
胃潰瘍では食後に腹痛が増悪することが多く、十二指腸潰瘍では食前・空腹時に増悪することが多いとされている。
しかし、実際には必ずしもそうではないこともある。
黒色便・吐血
胃・十二指腸内に出血した血液が逆流して嘔吐すれば「吐血」ないし酸化を受け黒色に変色した「コーヒー残渣様嘔吐」となって生じ、そのまま便となって出てくる場合は血液が酸化されて黒色となり「黒色の便」として生じてくる。
ただ、食道静脈瘤・Mallory-Weiss症候群等の他の上部消化管出血でも同様の症状を呈する。
また大腸や小腸からの下部消化管からの出血の場合、これを受けないで排出されるため「赤い便・血便」として生じてくる。
腹部の激痛・筋性防御(腹膜刺激症状)
出血していても胃潰瘍・十二指腸潰瘍の腹痛はそこまで強くなく強い腹痛がある場合は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜刺激症状である場合が多い。
●検査
血液検査
出血があれば貧血(Hb・RBC低下)が認められ、持続消耗性出血による小球性低色素性貧血(MCV低下)を呈してくる場合が多い。
大量出血である場合には貧血があっても、MCV低下がみられないこともある。
また活動期の出血の場合、胃内に蛋白成分が漏出し蛋白異化による尿素窒素(BUN)が高くなることでBUN/Cr比の上昇が認められ臨床的に出血兆候の指標として用いられる。
内視鏡検査
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断・治療において上部消化管内視鏡が基本となってくる。
他の消化管病変の精査・鑑別も含めて、一般的に広く行われる。同時に治療も行える利点がある。
消化管造影検査
いわゆる「胃透視(MDL)」は旧来より広く行われている。
所見から消化性単純潰瘍が疑わしい場合に、精査として行われることはほとんどなく、上記の内視鏡検査が行われる。
悪性腫瘍に付随する潰瘍病変である場合には、病変の位置や大きさが内視鏡検査よりも客観的に描出できるため、内視鏡検査の後であっても行われることが多い。
消化性潰瘍(しょうかせいかいよう、英:Peptic ulcer)とは主に胃酸が要因となって生じる潰瘍のことである。
●消化性潰瘍の分類
潰瘍の生じる部位別に旧来通り以下の通りに称される。
胃潰瘍(Gastric ulcer or Stomach ulcer)
十二指腸潰瘍(Duodenal ulcer)
食道潰瘍(esophageal ulcer)
デュラフォイ潰瘍(仏:Ulcère de Dieulafoy)
比較的小さな潰瘍であるが大出血を生じる潰瘍として1898年にフランスの外科医Paul Georges Dieulafoyが報告したもの。
粘膜浅層の血管の走行上部にちょうど潰瘍が生じることで、小さく浅い潰瘍でも血管破綻を生じ大出血する潰瘍。
急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)
急性十二指腸粘膜病変(ADML:acute duodenal mucosal lesion)
●消化性潰瘍の成因
胃潰瘍
通常は強酸である胃酸の分泌に対し、胃内の粘膜は粘膜保護が作用し攻撃因子・防御因子のバランスが保たれている。
胃潰瘍は主に、粘膜保護作用の低下によって防御因子が低下することで生じる。
十二指腸潰瘍
ヘリコバクター・ピロリ(H.Pylori)保菌者が多く、比較的若年者に多い。
H.Pyloriが胃前庭部に潜伏し始め、持続的にガストリン分泌刺激が促され胃酸分泌過多を生じることによって生じるとされている。
十二指腸潰瘍は食前・空腹時に痛みが増悪することが知られているが、摂食刺激によってセクレチンが分泌されガストリン分泌が抑制され胃酸分泌が少なくなるためと考えられている。
●消化性潰瘍の要因
リスクファクターは主に胃粘膜保護の減少である防御因子の低下を助長するものであり、以下が知られている。
飲酒
喫煙
塩分
熱いもの
ストレス
コーヒー(カフェイン)
NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬 Non steroidal anti-inflammatory drugs)
NSAIDsは鎮痛薬や抗血小板剤として広く用いられCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を阻害する作用を有し、このうちCOX-1が阻害されることで胃粘膜防御因子のPGE2(プロスタグランジン)産生低下が生じ潰瘍を生じやすいとされている。
COX-2のみを選択的に阻害するNSAIDsでは比較的生じにくい。
ステロイド
旧来よりステロイド(一般に糖質コルチコイド製剤)使用にて消化性潰瘍発症が高くなると言われていたが、近年のメタアナリシス報告で潰瘍発症の有意差は無いことが指摘されステロイドは消化性潰瘍のリスクファクターでは無いことが証明されてきた。
●消化性潰瘍の臨床像
胃潰瘍・十二指腸潰瘍共に以下の症状が基本となって生じてくる。
上腹部痛・心窩部痛(いわゆる胃の痛み)
胃潰瘍では食後に腹痛が増悪することが多く、十二指腸潰瘍では食前・空腹時に増悪することが多いとされている。
しかし、実際には必ずしもそうではないこともある。
黒色便・吐血
胃・十二指腸内に出血した血液が逆流して嘔吐すれば「吐血」ないし酸化を受け黒色に変色した「コーヒー残渣様嘔吐」となって生じ、そのまま便となって出てくる場合は血液が酸化されて黒色となり「黒色の便」として生じてくる。
ただ、食道静脈瘤・Mallory-Weiss症候群等の他の上部消化管出血でも同様の症状を呈する。
また大腸や小腸からの下部消化管からの出血の場合、これを受けないで排出されるため「赤い便・血便」として生じてくる。
腹部の激痛・筋性防御(腹膜刺激症状)
出血していても胃潰瘍・十二指腸潰瘍の腹痛はそこまで強くなく強い腹痛がある場合は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜刺激症状である場合が多い。
●検査
血液検査
出血があれば貧血(Hb・RBC低下)が認められ、持続消耗性出血による小球性低色素性貧血(MCV低下)を呈してくる場合が多い。
大量出血である場合には貧血があっても、MCV低下がみられないこともある。
また活動期の出血の場合、胃内に蛋白成分が漏出し蛋白異化による尿素窒素(BUN)が高くなることでBUN/Cr比の上昇が認められ臨床的に出血兆候の指標として用いられる。
内視鏡検査
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断・治療において上部消化管内視鏡が基本となってくる。
他の消化管病変の精査・鑑別も含めて、一般的に広く行われる。同時に治療も行える利点がある。
消化管造影検査
いわゆる「胃透視(MDL)」は旧来より広く行われている。
所見から消化性単純潰瘍が疑わしい場合に、精査として行われることはほとんどなく、上記の内視鏡検査が行われる。
悪性腫瘍に付随する潰瘍病変である場合には、病変の位置や大きさが内視鏡検査よりも客観的に描出できるため、内視鏡検査の後であっても行われることが多い。
2014年07月28日
ニコチン酸&ナイアシン
●ニコチン酸&ナイアシン
ニコチン酸(ニコチンさん、英: nicotinic acid)とは、3つの異性体が存在するピリジンカルボン酸に属する有機化合物である。
ニコチン酸アミドとともにナイアシンとも呼ばれ、ビタミンB3でもある。(ニコチン酸の生理活性は記事 ナイアシンに詳しい。)
●ニコチン酸の歴史
化学的には1867年にアルカロイドのニコチンを酸化して得られるカルボン酸として発見され、ニコチン酸という慣用名を与えられる。
1911年に鈴木梅太郎およびC.Funkらが生体より抗ペラグラ因子(こうペラグラいんし、pellagra‐preventive factor)として単離した。
ニコチン酸がビタミンであることは1937年にC.A.Elvehjemによって明らかにされた。
●製法・生合成
3位に側鎖をもつβ-ピコリンなどピリジン誘導体を硝酸や過マンガン酸カリウムなど強い酸化剤で酸化すると得られる。
また、ピリジン環を構築する方法でも合成される。ニコチン酸の銅塩は水に溶けにくい。
動物・菌類では生体内で、トリプトファンからキヌレニン、3‐ヒドロキシアントラニル酸を経由して、一方、植物や細菌ではアスパラギン酸とグリセロール近縁代謝物質であるC3ユニットとから生合成される。
●ナイアシン (Niacin) は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB3 ともいう。
水溶性ビタミンのビタミンB複合体の一つで熱に強く、糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠である。
循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがある。
欠乏すると皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じる。
エネルギー代謝中の酸化還元酵素の補酵素として重要である。
●一日の目標摂取量
NE(ナイアシン当量)に換算して表記する。
動物性蛋白質に1.4%,、植物蛋白質中に1.0%トリプトファンを含むものとし、また、トリプトファン60mgからナイアシン1mgが生合成されるものとし、食品中に含まれるナイアシン含量に加えてナイアシン当量を算出する。
成人男子 14〜17mgNE
成人女性 12〜13mgNE
許容上限摂取量を30mgNEとする。
さらに、摂取エネルギー1,000kcalに対し4.8mgNEを加える。
100mgNEを超えると過剰障害がおこることもある。
生体内においては、ナイアシンはトリプトファンから生合成される。
ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。
このため、通常の食生活を送る上では欠乏症に陥ることは多くない。
トウモロコシを主食とする場合、トウモロコシのトリプトファン含量が少ないため、ナイアシンとトリプトファンがともに欠乏し、ペラグラなどの欠乏症状を呈する場合がある。
また、ロイシンを非常に多く含むモロコシを主食とする場合、過剰のロイシンにより(トリプトファンをニコチン酸に変換する際に重要な役目を持った酵素である)キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの阻害が起こり、結果として欠乏症に陥る可能性がある。
また、ビタミンB6欠乏もナイアシン欠乏を促進しうる。
統合失調症の治療にナイアシンが効果があるとされている。
カツオ、サバ、ブリ、イワシ、レバー、鶏ささみ、マグロ、シラス干し、たらこ、豆類、コーヒー
以上
ニコチン酸(ニコチンさん、英: nicotinic acid)とは、3つの異性体が存在するピリジンカルボン酸に属する有機化合物である。
ニコチン酸アミドとともにナイアシンとも呼ばれ、ビタミンB3でもある。(ニコチン酸の生理活性は記事 ナイアシンに詳しい。)
●ニコチン酸の歴史
化学的には1867年にアルカロイドのニコチンを酸化して得られるカルボン酸として発見され、ニコチン酸という慣用名を与えられる。
1911年に鈴木梅太郎およびC.Funkらが生体より抗ペラグラ因子(こうペラグラいんし、pellagra‐preventive factor)として単離した。
ニコチン酸がビタミンであることは1937年にC.A.Elvehjemによって明らかにされた。
●製法・生合成
3位に側鎖をもつβ-ピコリンなどピリジン誘導体を硝酸や過マンガン酸カリウムなど強い酸化剤で酸化すると得られる。
また、ピリジン環を構築する方法でも合成される。ニコチン酸の銅塩は水に溶けにくい。
動物・菌類では生体内で、トリプトファンからキヌレニン、3‐ヒドロキシアントラニル酸を経由して、一方、植物や細菌ではアスパラギン酸とグリセロール近縁代謝物質であるC3ユニットとから生合成される。
●ナイアシン (Niacin) は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB3 ともいう。
水溶性ビタミンのビタミンB複合体の一つで熱に強く、糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠である。
循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがある。
欠乏すると皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じる。
エネルギー代謝中の酸化還元酵素の補酵素として重要である。
●一日の目標摂取量
NE(ナイアシン当量)に換算して表記する。
動物性蛋白質に1.4%,、植物蛋白質中に1.0%トリプトファンを含むものとし、また、トリプトファン60mgからナイアシン1mgが生合成されるものとし、食品中に含まれるナイアシン含量に加えてナイアシン当量を算出する。
成人男子 14〜17mgNE
成人女性 12〜13mgNE
許容上限摂取量を30mgNEとする。
さらに、摂取エネルギー1,000kcalに対し4.8mgNEを加える。
100mgNEを超えると過剰障害がおこることもある。
生体内においては、ナイアシンはトリプトファンから生合成される。
ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。
このため、通常の食生活を送る上では欠乏症に陥ることは多くない。
トウモロコシを主食とする場合、トウモロコシのトリプトファン含量が少ないため、ナイアシンとトリプトファンがともに欠乏し、ペラグラなどの欠乏症状を呈する場合がある。
また、ロイシンを非常に多く含むモロコシを主食とする場合、過剰のロイシンにより(トリプトファンをニコチン酸に変換する際に重要な役目を持った酵素である)キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの阻害が起こり、結果として欠乏症に陥る可能性がある。
また、ビタミンB6欠乏もナイアシン欠乏を促進しうる。
統合失調症の治療にナイアシンが効果があるとされている。
カツオ、サバ、ブリ、イワシ、レバー、鶏ささみ、マグロ、シラス干し、たらこ、豆類、コーヒー
以上
2014年07月23日
スタチンについて
●スタチンについて
スタチン (Statin)、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称である。
1973年に日本の遠藤章らによって最初のスタチンであるメバスタチンが発見されて以来、様々な種類のスタチンが開発され、高コレステロール血症の治療薬として世界各国で使用されている。
近年の大規模臨床試験により、スタチンは高脂血症患者での心筋梗塞や脳血管障害の発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされている。
●スタチンの発見
1971年、三共(現:第一三共)の発酵研究所に所属(当時)していた遠藤章のグループは、HMG-CoA還元酵素を阻害する物質の研究を開始した。
HMG-CoA還元酵素はメバロン酸の合成に必要な酵素であり、メバロン酸は菌類の細胞膜・細胞骨格構成成分の重要な素材であることから、自己防衛手段としてこの酵素を阻害する物質を持つ微生物が存在するのではないかと彼らは考えたのである。
1973年、6,000種に及ぶ微生物を検索した結果、遠藤らはアオカビの一種 (Penicillium citrinum) から最初のHMG-CoA還元酵素阻害薬であるメバスタチンを発見した。
彼らはメバスタチンの構造やHMG-CoA還元酵素を阻害するメカニズムについて解析すると共に、実際に血中のコレステロール値を低下させることができるかどうか、動物実験による検討を行った。
ラット・マウスなど齧歯類では再現性のあるデータを得られなかったものの、ニワトリやイヌ、そしてより人間に近いサルでは血中コレステロール値は20-50%程度低下し、メバスタチンの効果を実証することに成功した。
●スタチンの製品化
ヒトの脂質異常症患者や健康なボランティアを対象にした小規模試験においてもメバスタチンの有効性が示され、1979年に日本国内での臨床試験が開始された。
しかし、長期高濃度投与実験を行っていたイヌで副作用が発生したことを受け、臨床試験は1年余りで中止となった。
一方、メバスタチンの効果に関心を寄せていたアメリカの大手製薬企業・メルク(MSD)社は、遠藤からサンプルやデータの提供を受けながら独自に研究開発を進めた結果、コウジカビの一種 (Aspergillus terreus) から新たなスタチンであるロバスタチンを分離することに成功した。
その後の臨床試験で、ロバスタチンは安全性が比較的高く、メバスタチンと同程度のコレステロール低下作用を持つことが示された。
1987年、アメリカ食品医薬品局(FDA)から医薬品としての認可を受け、ロバスタチンは製品化された最初のスタチンとなった。
高コレステロール血症は(心血管障害・脳血管障害を導く)動脈硬化症の主要なリスク要因の一つと考えられている。スタチンの発見は、高コレステロール血症と関連疾患の予防、および基礎研究に多大な進歩をもたらした。
遠藤と共同研究を行い、コレステロールの代謝・作用機序を解明したアメリカのマイケル・ブラウンとジョーゼフ・ゴールドスタインの2名に、1985年度のノーベル生理学・医学賞が贈られている。
遠藤もまた「スタチンの発見と開発」における一連の業績により、2006年の日本国際賞、さらに2008年には「アメリカのノーベル医学生理学賞」とも言われるラスカー賞(臨床医学研究部門)を受賞した。
日本では、東海大学内科助教授(当時)中谷矩章、京都大学老年科教授(当時)北徹、金沢大学内科助教授(当時)馬渕宏らにより、1989年にプラバスタチン(商品名メバロチン)が製品化された。
●スタチンの作用機序
体内に吸収されたスタチンは、主に肝臓に分布する。
スタチンはメバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することで、肝臓でのコレステロール生合成を低下させる。
その結果、コレステロール恒常性維持のため肝臓でのLDL受容体発現が上昇し、血液から肝臓へのLDLコレステロールの取り込みが促進される。
LDLは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管壁にアテロームを形成して動脈硬化症の原因となる。
コレステロール生合成の抑制が持続することにより、血液中へのVLDL(主にコレステロールとトリグリセリドからなるリポ蛋白)分泌も低下するため、血漿トリグリセリド値も低下する。
●スタチンの副作用
スタチンの投与によってみられる副作用には、腹痛・発疹・倦怠感などのほかに、重篤なものとして横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などがある。
このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあるため、投与時にはクレアチンキナーゼやミオグロビンなど筋原酵素の動態に注意を払う必要がある。
高用量のスタチンを処方した場合、急性腎障害による入院率が上昇するとの報告がある。
●スタチンの相互作用
脂質降下薬の一種であるフィブラート系薬剤とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まることが知られており、これら2剤の併用は原則禁忌とされている。
2001年にはセリバスタチンとゲムフィブロジル製剤を併用した症例で高頻度に横紋筋融解症が発生することが報告され、セリバスタチン製剤の自主回収が行われた。
以上
スタチン (Statin)、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称である。
1973年に日本の遠藤章らによって最初のスタチンであるメバスタチンが発見されて以来、様々な種類のスタチンが開発され、高コレステロール血症の治療薬として世界各国で使用されている。
近年の大規模臨床試験により、スタチンは高脂血症患者での心筋梗塞や脳血管障害の発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされている。
●スタチンの発見
1971年、三共(現:第一三共)の発酵研究所に所属(当時)していた遠藤章のグループは、HMG-CoA還元酵素を阻害する物質の研究を開始した。
HMG-CoA還元酵素はメバロン酸の合成に必要な酵素であり、メバロン酸は菌類の細胞膜・細胞骨格構成成分の重要な素材であることから、自己防衛手段としてこの酵素を阻害する物質を持つ微生物が存在するのではないかと彼らは考えたのである。
1973年、6,000種に及ぶ微生物を検索した結果、遠藤らはアオカビの一種 (Penicillium citrinum) から最初のHMG-CoA還元酵素阻害薬であるメバスタチンを発見した。
彼らはメバスタチンの構造やHMG-CoA還元酵素を阻害するメカニズムについて解析すると共に、実際に血中のコレステロール値を低下させることができるかどうか、動物実験による検討を行った。
ラット・マウスなど齧歯類では再現性のあるデータを得られなかったものの、ニワトリやイヌ、そしてより人間に近いサルでは血中コレステロール値は20-50%程度低下し、メバスタチンの効果を実証することに成功した。
●スタチンの製品化
ヒトの脂質異常症患者や健康なボランティアを対象にした小規模試験においてもメバスタチンの有効性が示され、1979年に日本国内での臨床試験が開始された。
しかし、長期高濃度投与実験を行っていたイヌで副作用が発生したことを受け、臨床試験は1年余りで中止となった。
一方、メバスタチンの効果に関心を寄せていたアメリカの大手製薬企業・メルク(MSD)社は、遠藤からサンプルやデータの提供を受けながら独自に研究開発を進めた結果、コウジカビの一種 (Aspergillus terreus) から新たなスタチンであるロバスタチンを分離することに成功した。
その後の臨床試験で、ロバスタチンは安全性が比較的高く、メバスタチンと同程度のコレステロール低下作用を持つことが示された。
1987年、アメリカ食品医薬品局(FDA)から医薬品としての認可を受け、ロバスタチンは製品化された最初のスタチンとなった。
高コレステロール血症は(心血管障害・脳血管障害を導く)動脈硬化症の主要なリスク要因の一つと考えられている。スタチンの発見は、高コレステロール血症と関連疾患の予防、および基礎研究に多大な進歩をもたらした。
遠藤と共同研究を行い、コレステロールの代謝・作用機序を解明したアメリカのマイケル・ブラウンとジョーゼフ・ゴールドスタインの2名に、1985年度のノーベル生理学・医学賞が贈られている。
遠藤もまた「スタチンの発見と開発」における一連の業績により、2006年の日本国際賞、さらに2008年には「アメリカのノーベル医学生理学賞」とも言われるラスカー賞(臨床医学研究部門)を受賞した。
日本では、東海大学内科助教授(当時)中谷矩章、京都大学老年科教授(当時)北徹、金沢大学内科助教授(当時)馬渕宏らにより、1989年にプラバスタチン(商品名メバロチン)が製品化された。
●スタチンの作用機序
体内に吸収されたスタチンは、主に肝臓に分布する。
スタチンはメバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することで、肝臓でのコレステロール生合成を低下させる。
その結果、コレステロール恒常性維持のため肝臓でのLDL受容体発現が上昇し、血液から肝臓へのLDLコレステロールの取り込みが促進される。
LDLは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管壁にアテロームを形成して動脈硬化症の原因となる。
コレステロール生合成の抑制が持続することにより、血液中へのVLDL(主にコレステロールとトリグリセリドからなるリポ蛋白)分泌も低下するため、血漿トリグリセリド値も低下する。
●スタチンの副作用
スタチンの投与によってみられる副作用には、腹痛・発疹・倦怠感などのほかに、重篤なものとして横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などがある。
このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあるため、投与時にはクレアチンキナーゼやミオグロビンなど筋原酵素の動態に注意を払う必要がある。
高用量のスタチンを処方した場合、急性腎障害による入院率が上昇するとの報告がある。
●スタチンの相互作用
脂質降下薬の一種であるフィブラート系薬剤とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まることが知られており、これら2剤の併用は原則禁忌とされている。
2001年にはセリバスタチンとゲムフィブロジル製剤を併用した症例で高頻度に横紋筋融解症が発生することが報告され、セリバスタチン製剤の自主回収が行われた。
以上

