2014年01月30日

アドレナリン作動薬とは

●アドレナリン作動薬(英語: adrenergic drug)は、アドレナリン作動性神経を刺激した時と同様の作動を示す薬物。

多くの場合は交感神経系シナプスに作動するため、これらは交感神経作動薬(英: sympathomimetic drug)とも呼ばれる。

●概要

アドレナリン作動薬としては、生体カテコールアミンと、人工的に合成されたものがあるが、これらは作動の発現方式によって分けられる。

作動の発現様式としては、

1.直接作動型
: アドレナリン受容体に直接作動するもの

2.間接作動型
: アドレナリン作動性神経のシナプス小胞に作動して神経伝達物質であるノルアドレナリンを放出させ、交感神経の作動を亢進させるもの

3.上2者の混合型

の3種類がある。

また、受容体への直接作動型については、さらに標的となる受容体に応じて細かく分類される。

現在、アドレナリン受容体としては、α1・2、β1〜3の5つのサブタイプが識別されているが、これらの各サブタイプに特異的に作動するものと、非選択的に全てのサブタイプに作動するものがある。



●直接作動型

非選択的作動薬:カテコールアミン

カテコールアミン(あるいはカテコラミン)とは、受容体に直接作動する代表的な物質である。

これらは、非選択的なアドレナリン受容体作動薬として働く。

生理的に神経伝達物質として使われているものとしては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンがある。

また、人工的なものとしてはイソプロテレノールなどがある。



アドレナリンは、各受容体に等しく作動し、強心、昇圧、気管支拡張、散瞳、血糖上昇の各作動を発揮する。

臨床的には、心停止時に用いたり、アナフィラキシーショック・敗血症に対する血管収縮薬や、気管支喘息発作時の気管支拡張・痙攣抑制薬として用いられる。

ノルアドレナリンは、αおよびβ1受容体には作動するが、β2受容体への作動は弱い。

従って、昇圧作動が強いことから、急性低血圧やショック時の昇圧剤として、皮下注射あるいは静脈内持続投与により使用される。

ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体であり、α、β受容体のほか、ドーパミンに特異的なD1・2受容体に対しても作動する。

D1受容体は腎臓など内蔵血管の平滑筋に分布しており、cAMP濃度を上昇させて筋を弛緩させることから、内蔵血流増加および利尿作動を持つ。

したがって、血圧上昇作動がある一方で、乏尿や脈圧・脈拍数の変化などの悪影響が出現しにくいことから他のカテコラミンよりも副作動が弱く、とくに中用量ドーパミンは昇圧剤として汎用される。



α作動薬

α1作動薬平滑筋収縮作動が強いことから、持続的血管収縮による昇圧薬、あるいは局所投与による血管収縮薬として使用される。

昇圧薬としてはフェニレフリン、血管収縮薬としてはナファゾリンなどが使用される。

α2作動薬中枢α2受容体刺激により交感神経節前線維の興奮を抑制し、また節後線維シナプス前膜からのノルアドレナリンの分泌を抑制することにより血圧を低下させることから、中枢性降圧薬として使用される。クロニジンなどがある。



β作動薬

β1作動薬心臓に主に存在し、心筋のβ1受容体に作用して収縮力を増強する。

ドブタミンなどがある。



β2作動薬

β2受容体は気管支や血管、子宮や膀胱壁において、平滑筋弛緩作用を発揮する。

このことから、β2作動薬は概して、気管支拡張薬として気管支喘息および他の慢性閉塞性肺疾患の症状緩和に使われる。

また、特にリトドリンについては、子宮弛緩薬として、切迫流産の治療に用いられる。

なお、アドレナリンのN-メチル基をN-イソプロピル基に置換した人工カテコラミンであるイソプロテレノールはβ作動薬としての性格が強く、β1・2に等しく作動し、また高濃度ではβ3受容体に作動する。




●間接作動型

間接型は、交感神経の作用を増強するものであり、アンフェタミンやドロキシドパがある。

アンフェタミンは代表的な覚醒剤の一つであり、ノルアドレナリンおよびドーパミンの放出促進およびその再取り込み・分解を阻害することで、強い交感神経興奮作用と中枢興奮作用を示す。

ドロキシドパは、生体内代謝によってノルアドレナリンに変換されることから、長時間型の昇圧剤として使用される。



●混合型

直接作動型と間接作動型の両方の機序によって作用するもので、エフェドリンなどがある。



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2014年01月22日

交感神経α受容体遮断薬

交感神経α受容体遮断薬(こうかんしんけいあるふぁじゅようたいしゃだんやく、alpha-adrenergic blocking agent; alpha blocker)とは交感神経のアドレナリン受容体のうち、α受容体のみに遮断作用を示す薬剤のことである。

主に高血圧・前立腺肥大による排尿障害などの治療に用いられている。


●α受容体

アドレナリン受容体のうち、イソプロテレノール感受性が低いグループをα受容体と分類した。

内因性のリガンドとしてアドレナリン及びノルアドレナリンが存在する。

1型及び2型に大きく分類され、いずれもG蛋白質共役受容体である。


●α1受容体

Gq/11蛋白質結合型である。

リガンドが結合すると細胞内ホスホリパーゼCを活性化することによりイノシトール三リン酸(IP3)及びジアシルグリセロール(DG)の産生を介して細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる。

α1受容体への刺激は血管平滑筋の収縮を引き起こし、血圧の上昇に関与する。


●α2受容体

Gi蛋白質結合型である。

シナプス前膜に存在し、神経伝達物質の遊離を制御する自己受容体(Auto Receptor)として機能する。



●α受容体遮断薬

・α1・2受容体非選択的遮断薬

フェントラミン(Phentolamine)
トラゾリン(Tolazoline)


・非競合的α受容体非選択的遮断薬

フェノキシベンザミン(Phenoxybenzamine)
ダイベナミン(Dibenamine)


●α1受容体選択的遮断薬

プラゾシン(Prazosin)
ブナゾシン(Bunazosin)
テラゾシン(Terazosin)
ドキサゾシン(Doxazosin)
タムスロシン(Tamsulosin)
ナフトピジル(Naftopidil)


●α2受容体選択的作動薬

α-メチルドパ(α-Methyldopa)
クロニジン(Clonidine)


●α2受容体選択的遮断薬

ヨヒンビン(Yohimbine)

麦角アルカロイド
 エルゴタミン(Ergotamine)
 エルゴメトリン(Ergometrine)


●α及びβ受容体非選択的遮断薬

ラベタロール(Labetalol)
アロチノロール(Arotinolol)
アモスラロール(Amosulalol)
アロチノロール(Arotinolol)

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交感神経β受容体遮断薬

【交感神経β受容体遮断薬】


●交感神経β受容体遮断薬(英 beta-adrenergic blocking agent; beta blocker)とは交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用を示す薬剤のこと。

β遮断薬(ベータしゃだんやく)、βブロッカーなどとも呼ばれる。

臨床的には降圧薬や労作性狭心症患者の狭心症状予防、不整脈(心房細動、洞性頻脈、期外収縮時の心拍数低下)、心不全患者の心機能改善や突然死亡、心筋梗塞の心保護(予後改善)などの循環器疾患に対して用いられる。



●β受容体遮断薬の特性

β受容体遮断薬を分類するパラメータは多いが、特に重要なパラメータとしてはβ1選択性、内因性交感神経刺激作用(Intrinsic Sympathomimetic Activity,ISA)、α遮断作用の有無、効果の持続時間、脂溶性、水溶性の差などである。

β2受容体選択的遮断薬は臨床で用いられていない。

内因性交感神経刺激作用(ISA)β遮断薬の中には単に受容体を遮断するのみではなく、β受容体を刺激する作用も有するものが存在する。

これらの作用は矛盾するようであるが、ISA(+)の薬物がβ受容体を刺激するか遮断するかは状況により異なる。

つまり、内因性カテコールアミンやアドレナリンβ刺激薬の存在下においてこれらの薬物はβ遮断薬として働くが、非存在下においてはむしろ受容体を刺激する。

部分作動薬と考えると非常にわかりやすい。高齢者などにはISA活性を持つ薬物の方が負担が少なく好ましいとされているが、狭心症の患者においてはISA(+)の薬物はむしろ心臓に対する負荷を大きくするため予後改善効果が弱く望ましくない。

また、心筋梗塞患者の再発防止効果(二次予防)が乏しくガイドラインなどでは推奨されていない。



ISAの選択の意義としてはβ受容体遮断薬の副作用の軽減であるが、近年はISAを持つ薬物を避ける傾向がある。

β1選択性非選択的にβ受容体を遮断するとβ2遮断の結果、血管拡張が抑制され後負荷が増加し、また気管支喘息を誘発したり糖・脂質代謝に悪影響を及ぼす可能性がある。

β1選択性のある遮断薬でもわずかにβ2遮断効果があるため、どちらにせよ気管支喘息の患者には慎重投与となるが、気道抵抗の上昇した高齢者やCOPD患者などではβ1選択性はリスクを軽減すると考えられている。α遮断作用β遮断薬は相対的なα刺激の亢進で末梢血管抵抗を上昇させることがある、αβ遮断薬ならばそれを防ぐことができると考えられている。すなわち糖尿病などの脂質プロファイルや、末梢循環の改善には有用とのデータや考え方がある。

ただし、起立性低血圧(立ち上がった時の脳血流低下による「めまい」)が発生することがあり注意する。

効果の持続時間高血圧、狭心症、不整脈や心不全患者では長時間作用型の薬物が投与回数が少なく望ましい。

抗不整脈薬としては頓用で用いるには作用発現が早く、短期作用型のプロプラノール(インデラル)が扱いやすい。

脂溶性と水溶性脂溶性のβ遮断薬は脳に移行し中枢性の副作用(悪夢、インポテンツ、うつ病など)を起こすリスクが高いため注意が必要である。ただし、近年の研究では、β遮断薬の心保護効果(死亡抑制、心血管イベント防止)は脂溶性のβ遮断薬でないと得られないとの報告があり、欧州の心不全や心筋梗塞ガイドラインや、本邦でも最新(2011年)の心筋梗塞二次予防ガイドラインでも脂溶性β遮断薬が推奨されている。



膜安定化作用膜安定化作用(Membrane Stabilizing Activity,MSA)とは細胞内へのNa+の流入を阻害する作用のことである。

キニジン様作用及び局所麻酔作用とも呼ばれる。

膜安定化作用はβ遮断薬の抗不整脈作用に重要と考えられていたが、β遮断薬の抗不整脈作用は膜安定化作用によるものではなく、また臨床用量では膜安定化作用が期待できないことから臨床上は意味のない分類と考えられている。



●臨床適応

選択的及び非選択的なβ1受容体遮断薬の適応について下記に示した。なお、β2受容体選択的遮断薬は臨床で用いられていない。

本態性高血圧

上室性期外収縮

心室性期外収縮

頻拍性心房細動:メインテート(2013年6月適応追加)

慢性心不全(肺うっ血の無い患者):カルベジロール(2002年10月適応追加)、メインテート(2011年5月適応追加)



●副作用

全てのβ遮断薬に共通して起こるもの心機能低下、低血圧、洞機能不全、房室ブロック、消化器症状、離脱症状、離脱症候群などは起こるリスクが高い。

また冠痙縮の悪化に関しては明らかなエビデンスが存在しないため、どのβ遮断薬を用いても起こると考えた方が無難である。

冠スパズムの可能性があればCa拮抗薬を併用することが多い。離脱症候群はβ遮断薬の長期投与によって受容体のアップレギュレーションが認められ急に中止した際に著明な血圧の上昇や虚血症状、不整脈が増悪することである。

非β1選択性の場合β2遮断効果による副作用である。

気管支喘息の悪化、低血糖、閉塞性動脈硬化の増悪、末梢循環障害、トリグリセリドの上昇、HDL-Cの低下などが知られている。

気管支喘息は診断基準が存在しないために悩ましいことがある。

呼吸機能検査で改善率を調べることで気道過敏性を調べるといったことも参考になる。

高齢者は老化現象でスパイロメトリーが閉塞性パターンとなるため、喘息の診断は難しくなる。

脂溶性β遮断薬の場合悪夢、インポテンツ、うつ病など精神症状が認められることがある。

ただし、水溶性β遮断薬(テノーミン)でも発生するので注意が必要である。


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2014年01月14日

自律神経とは?

自律神経系(じりつしんけいけい、英: Autonomic nervous system)は、末梢神経系のうち植物性機能を担う神経系であり、動物性機能を担う体性神経系に対比される。

自律神経系は内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序という2つの系からなる。

交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されている。



●自律神経系の機能

随意神経系である体性神経系と対照して、不随意である「自律神経系」は循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝のような不随意な機能を制御する。

自律神経系はホルモンによる調節機構である内分泌系と協調しながら、種々の生理的パラメータを調節しホメオスタシスの維持に貢献している。

近年では、自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」として扱われることもあり、古典的な生理学、神経学としての自律神経学のみならず、学際領域のひとつである神経免疫学、精神神経免疫学における研究もなされている。



交感神経と副交感神経の2つの神経系からなり、双方がひとつの臓器を支配することも多く(二重支配)、またひとつの臓器に及ぼす両者の作用は一般に拮抗的に働く(相反支配)。


交感神経系の機能は、闘争か逃走か(fight or flight)と総称されるような、身体的活動や侵害刺激、恐怖といった広義のストレスの多い状況において重要となる。



以下に運動時の生体反応を例にして、交感神経系の機能を述べる。


交感神経系の亢進により血管が収縮し、心拍数が増加する。

この結果血圧が上昇し末梢組織の還流量が増加する。このような作用の結果消化管、皮膚への血液量が減少するが、一方で骨格筋への血液供給量が増加する。

これは骨格筋の運動に伴う局所因子の影響に加えて、筋血管では血管拡張に関与するβ受容体が豊富なことも一因である。

気管支平滑筋は弛緩するがこれは気管径の増加をもたらし結果として、一回換気量の増加つまりガス交換効率を向上させることとなる。



一方、代謝系に視点を移す。

運動時には骨格筋において多量のエネルギー基質(グルコース)を消費するため血糖維持が重要である。

なかでも肝臓からのグルコース放出は重要である。

交感神経は肝臓でのグリコーゲン分解と脂肪組織での脂肪分解を促し血液中に必要なエネルギーを与える。

加えて、交感神経が骨格筋のグルコース取り込みを直接的に促進することも報告されている。

交感神経は内分泌器官にも作用し副腎髄質ホルモン分泌、グルカゴン分泌を刺激しやはり末梢組織へのエネルギー供給に促進的に作用する。

結果として、骨格筋を中心とした組織において豊富な酸素とグルコースが供給される一方で、皮膚や消化管へは供給が乏しくなる。

このように、自律神経系は各臓器の機能を統合的に調節することで、結果として個体の内部環境を合目的にする。



心機能亢進、気管支の拡張、肝グリコーゲン分解、脂肪分解等が交感神経系の支配下にある一方で、主に安静時に重要となる消化管機能(消化管運動、消化液分泌)、排尿機能の亢進は副交感神経系のコントロール下にある。

心拍数を減少させ、血圧を下げて、皮膚と胃腸への血液を戻し、瞳孔と細気管支を収縮させて、唾液腺分泌を刺激して、蠕動を加速する。 副交感神経系は代謝においては同化傾向に働く。

交感神経系、及び副交感神経系が個々の臓器、器官に及ぼす効果についてはそれぞれの項目を参照されたい。





●自律神経系の薬理学的基礎

交感および副交感神経線維は、1つの細胞またはニューロンだけから成る自発的な運動神経と対照して、「神経節前」及び「神経節後」神経細胞の両方がある。

それらは神経節で会合し、シナプスの化学伝達物質アセチルコリン(ACh)により、神経インパルスが神経節で細胞から細胞へ伝達される。


アセチルコリンは最初のニューロン(節前ニューロン)から放出され、2番目のニューロン(節後ニューロン)のニコチン型受容体に結合し、リガンド依存性Naチャネルを開き、脱分極を起こしてインパルスを発生、ニューロン末端で2番目の神経伝達物質を放出することによって、情報をシナプス後膜へ伝える。


副交感神経系の2番目の伝達物質は同じくアセチルコリンであるが、交感神経系における2番目の伝達物質はノルアドレナリンが担う。副腎髄質を支配する神経は節前線維で終わる。

普通、交感神経の節後線維からノルアドレナリンが放出されるが機能的に見ると伝達物質を放出する代わりに副腎髄質からアドレナリン及びノルアドレナリンが分泌される。

つまり副腎髄質自体が巨大な節後線維として働いていることとなる。



神経節前自律神経細胞の細胞体は中枢神経系に位置し、交感神経系の細胞体は脊髄の内の胸随と腰随にあるのに対し、副交感神経系の細胞体は脳幹(頭蓋副交感神経=迷走神経などの脳神経の一部)と仙随(仙髄副交感神経)に位置している。

自律神経系の機能を担う、主な神経伝達物質はアセチルコリンとノルアドレナリンである。

前述の通り、アセチルコリンは交感神経及び副交感神経の節前線維終末から放出され、ここでの受容体はニコチン性アセチルコリン受容体である。


自律神経節では他にも、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ドーパミン受容体等が存在することが知られており、これらは神経伝達物質というよりはむしろ神経修飾物質と呼ばれ興奮の伝達に関与していると考えられる。

自律神経節のニコチン受容体をブロックするアンタゴニストとしてはトリメタファン、ヘキサメソウニウムが知られており、今日では使用は減ったものの、最も早くに導入された降圧薬である。



アセチルコリン受容体にはニコチン性のものに加えて、他にムスカリン性受容体があり、これは副交感神経支配下の効果器に存在する。

今日では、ムスカリン受容体はM1〜M5受容体というサブタイプが知られ、今後個々の臓器における、これらサブタイプの違いに基づくよりよい薬の開発等が期待されている。

ムスカリン受容体の局在として、副交感神経終末以外に、汗腺支配下の交感神経終末がある。


汗腺は原則として交感神経の一元的支配を受けているが、一方で伝達物質はアセチルコリン、受容体はムスカリン性アセチルコリン受容体であるという点で、特徴的である。

ムスカリン受容体拮抗薬は、循環器、消化器薬として知られるアトロピンが有名である。


近年、マクロファージの細胞表面にニコチン受容体が存在しており、マクロファージの炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-1など)産生、放出に抑制的に作用することが明らかになっている。

このニコチン受容体はその後の解析でα7ニコチン受容体であることが判明し、炎症を伴う種々の病態、すなわち敗血症や関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの新たな薬物治療のターゲットとして期待されている。



ノルアドレナリンは交感神経終末から放出され、副腎髄質からアドレナリンとともに分泌される。

アセチルコリン同様に、(ノル)アドレナリンの受容体にも、サブタイプが存在することが知られ、α受容体とβ受容体に大別される。

交感神経が各器官に及ぼす作用のうち、血管収縮はα受容体によって、心拍数増大はβ受容体によってそれぞれ媒介されている。

このような、受容体の差異を考慮して、交感神経の作用を選択的に再現もしくは遮断するα/β作動薬もしくは遮断薬が臨床的にも応用されている。

今日では、αはさらにα1、α2、βはβ1、β2、β3という下位のサブタイプが存在することが知られている。

β1アドレナリン受容体は主に心臓に局在し心拍数増加、心収縮力増加を介し心拍出量を増やす。

これを踏まえ、β受容体拮抗薬は心機能を抑制する目的で高血圧の患者に用いられる。


逆に心不全のときには、心機能を補助する目的でβ受容体刺激薬が用いられる。

β2は多くの平滑筋に存在するが臨床的には気管支拡張薬として重要である。

β3アドレナリン受容体は、最も遅くに報告された受容体であるが、脂肪組織、膀胱、消化管等に限局して存在することが知られ、β3受容体を選択的に刺激する薬が開発されることで、心臓や気管支に作用することなく脂肪を効率的に減少させることができるのではないかと期待されている。



近年のトピックスのひとつに交感神経系の標的器官としての骨が挙げられる。

動物モデルでは、交感神経系がβ2受容体を介して、骨形成に抑制的に関与していることβ遮断薬が骨形成に促進的に作用することが内外から報告されている。

このメカニズムには脂肪組織から分泌されるレプチンの関与も示唆されており、神経-骨連関として注目されている。


交感神経の軸索はいわゆる交感神経幹として、脊柱のそれぞれの側で、22の神経節の鎖を為す。

これらからの内臓の神経は、大動脈の正面の不対臓側動脈が分岐するあたりにある、

脊椎前神経節へ続く。

交感神経の左右の神経幹は、骨盤の領域で合流し不対神経節を形成する。

自律神経線維により支配される器官は心臓、肺、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、および生殖器を含んでいる。

また、これらの器官は心室以外は副交感神経系によっても支配される。

結腸の後部までの消化器系の末端は骨盤神経節を通して仙骨の副交感神経線維を通して調節される。それより前の消化管は迷走神経支配を受ける。


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2014年01月12日

副交感神経とは

副交感神経とは


副交感神経系(ふくこうかんしんけいけい、(PNS:Parasympathetic nervous system)は、自律神経系の一部を構成する神経系であり、コリン作用性である。

副交感神経は遠心性の自律神経であり、臓器近傍あるいは臓器内に存在する神経節を隔てて大きく節前線維と節後線維に分けられる。節前線維・節後線維ともに末端部から神経伝達物質としてアセチルコリンを放出することからコリン作用性神経と呼ばれる。


●神経伝達物質

アセチルコリン


●受容体

ムスカリン受容体(M1、M2、M3)


●アセチルコリンの再利用

シナプス間隙に放出されたアセチルコリンの一部はコリンエステラーゼによりコリンと酢酸に加水分解される。

コリンは前シナプスに取り込まれた後、神経終末部に存在するコリンアセチルトランスフェラーゼによりアセチルCoAを基質としてアセチルコリンへ再合成される。

その後アセチルコリンは前シナプス中の顆粒に取り込まれ、再びシナプス間隙へ放出される。




●臓器に対する効果

眼(T1〜T2) 瞳孔→収縮

毛様体筋→収縮

涙腺(T1〜T3)→分泌

鼻腔腺→分泌

唾液腺(T1〜T2)→漿液性の液を分泌

心臓(T1〜T5)→血圧↓、心拍数↓、心収縮力↓、電気的興奮性↓、房室結節伝導時間延長(ブロック)

血管(いくつかの外分泌腺の血管、いくつかの外性器の血管)→拡張(一過性)

冠状動脈→収縮

気道・肺(T2〜T7) 気管支→気管支平滑筋収縮

気管支腺→分泌

肝臓(T5〜T10)→グリコーゲン合成

胃腸管(T6〜L1) 胃→平滑筋収縮、括約筋弛緩、胃活動↓、蠕動運動↑、胃液分泌↑

腸管→平滑筋収縮


膵臓(T6〜T10)→膵液分泌↑、インスリン分泌↑

腸 小腸→運動↑、括約筋弛緩、腸液分泌↑

直腸(S2〜S4)→平滑筋収縮、括約筋弛緩

胆嚢・胆管→収縮

生殖器(S2〜S4)→勃起

膀胱(S2〜S4)→膀胱三角弛緩、括約筋弛緩、排尿筋収縮

骨格筋動脈→拡張

血管(骨格筋内)→収縮

一部血管→拡張
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