2014年07月29日

消化性潰瘍とは?(2)

●消化性潰瘍とは?(2)


●消化性潰瘍の分類

胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともに内視鏡所見から以下の分類を用いて評価することが多い。



崎田分類

潰瘍の治癒状態を分類したもの。1961年に国立がんセンターの崎田隆夫(後に筑波大学教授)・大森皓次・三輪剛(後に東海大学教授)等が作成したもの。

元々は内視鏡観察ではなく当時の主流である「胃透視画像(バリウム造影)」から提唱されたものであるが、内視鏡観察が広く行われるようになってきた現在でも広く用いられている。


活動期(Active stage):潰瘍辺縁の浮腫像・厚い潰瘍白苔がある時期 A1:出血や血液の付着した潰瘍底はやや汚い白苔の状態 

A2:潰瘍底はきれいな厚い白苔の状態 潰瘍辺縁の浮腫像は改善してくる時期

治癒過程期(Healing stage):潰瘍辺縁の浮腫像の消失・壁集中像・再生上皮の出現が見られてくる時期 H1:再生上皮が少し出現している(潰瘍の50%以下)

H2:再生上皮に多く覆われてきている(潰瘍の50%以上)

瘢痕期(Scar stage):潰瘍白苔が消失した時期



S1:赤色瘢痕

S2:白色瘢痕




Forrest分類

潰瘍の出血状態を分類したもの。1974年にJohn Forrestが「Lancet」に発表したもの。

現在は以下のWalter Heldweinによる改変版が広く用いられている。

Active bleeding(活動性出血)

Ia:Spurting bleed(噴出性出血)

Ib:Oozing bleed(漏出性出血)



Recent bleeding(最近の出血)

IIa:Non-bleeding visible vessel(出血の無い露出血管)

IIb:Adherent blood clot・Black base(凝血塊の付着・黒色潰瘍底)

No bleeding(出血無し)

III:Lesion without stigmata of recent bleeding(最近の出血所見の無い病変)




●消化性潰瘍の治療


緊急治療[編集]

出血病変・穿孔病変に対しては以下の緊急処置が行われる

出血性胃潰瘍・十二指腸潰瘍

潰瘍からの出血兆候を認める場合、以下の上部消化管内視鏡による内視鏡的止血術が行われる。

clip止血

局注止血 エピネフリン添加高張食塩水(HSE:Hypertonic Saline-Epinephrine)

純エタノール

高周波凝固止血

APC(argon plasma coagulation)止血

稀に内視鏡的な止血困難な症例は腹部血管カテーテル検査によって出血血管の塞栓術(IVR)が施行されたり、または手術(胃切開+出血血管縫合止血術+潰瘍縫縮術)が施行される場合もある。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍穿孔

潰瘍穿孔を来たした場合、消化管穿孔として腹膜炎発症のコントロールが重要となってくる。

基本的に絶食・輸液管理・胃管挿入・抗菌薬投与による保存的加療にて穿孔が自然閉鎖し軽快することも多いが、穿孔が巨大であったり腹膜炎が生じていたりするようであれば手術(穿孔部縫合術+大網被覆術+腹腔内洗浄)が行われる。




薬物治療

旧来、消化性潰瘍の治療としては胃切除術が施行されてきたが抗潰瘍薬の開発と共に消化性潰瘍の治療は以下の内服治療が基本となっている。


胃酸分泌抑制薬

プロトンポンプ阻害薬

ヒスタミンH2受容体拮抗薬



胃粘膜保護剤

アルギン酸ナトリウム



制酸剤

炭酸カルシウム

炭酸水素ナトリウム





H.Pylori除菌

ヘリコバクター・ピロリを保有している場合、再発予防として除菌療法を行うことが推奨されている。



以上


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消化性潰瘍とは?(1)

●消化性潰瘍とは?(1)

消化性潰瘍(しょうかせいかいよう、英:Peptic ulcer)とは主に胃酸が要因となって生じる潰瘍のことである。



●消化性潰瘍の分類


潰瘍の生じる部位別に旧来通り以下の通りに称される。

胃潰瘍(Gastric ulcer or Stomach ulcer)

十二指腸潰瘍(Duodenal ulcer)

食道潰瘍(esophageal ulcer)

デュラフォイ潰瘍(仏:Ulcère de Dieulafoy)

比較的小さな潰瘍であるが大出血を生じる潰瘍として1898年にフランスの外科医Paul Georges Dieulafoyが報告したもの。

粘膜浅層の血管の走行上部にちょうど潰瘍が生じることで、小さく浅い潰瘍でも血管破綻を生じ大出血する潰瘍。

急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)

急性十二指腸粘膜病変(ADML:acute duodenal mucosal lesion)





●消化性潰瘍の成因

胃潰瘍

通常は強酸である胃酸の分泌に対し、胃内の粘膜は粘膜保護が作用し攻撃因子・防御因子のバランスが保たれている。

胃潰瘍は主に、粘膜保護作用の低下によって防御因子が低下することで生じる。



十二指腸潰瘍

ヘリコバクター・ピロリ(H.Pylori)保菌者が多く、比較的若年者に多い。

H.Pyloriが胃前庭部に潜伏し始め、持続的にガストリン分泌刺激が促され胃酸分泌過多を生じることによって生じるとされている。

十二指腸潰瘍は食前・空腹時に痛みが増悪することが知られているが、摂食刺激によってセクレチンが分泌されガストリン分泌が抑制され胃酸分泌が少なくなるためと考えられている。



●消化性潰瘍の要因

リスクファクターは主に胃粘膜保護の減少である防御因子の低下を助長するものであり、以下が知られている。

飲酒

喫煙

塩分

熱いもの

ストレス

コーヒー(カフェイン)

NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬 Non steroidal anti-inflammatory drugs)

NSAIDsは鎮痛薬や抗血小板剤として広く用いられCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を阻害する作用を有し、このうちCOX-1が阻害されることで胃粘膜防御因子のPGE2(プロスタグランジン)産生低下が生じ潰瘍を生じやすいとされている。

COX-2のみを選択的に阻害するNSAIDsでは比較的生じにくい。


ステロイド

旧来よりステロイド(一般に糖質コルチコイド製剤)使用にて消化性潰瘍発症が高くなると言われていたが、近年のメタアナリシス報告で潰瘍発症の有意差は無いことが指摘されステロイドは消化性潰瘍のリスクファクターでは無いことが証明されてきた。




●消化性潰瘍の臨床像

胃潰瘍・十二指腸潰瘍共に以下の症状が基本となって生じてくる。

上腹部痛・心窩部痛(いわゆる胃の痛み)

胃潰瘍では食後に腹痛が増悪することが多く、十二指腸潰瘍では食前・空腹時に増悪することが多いとされている。

しかし、実際には必ずしもそうではないこともある。


黒色便・吐血

胃・十二指腸内に出血した血液が逆流して嘔吐すれば「吐血」ないし酸化を受け黒色に変色した「コーヒー残渣様嘔吐」となって生じ、そのまま便となって出てくる場合は血液が酸化されて黒色となり「黒色の便」として生じてくる。

ただ、食道静脈瘤・Mallory-Weiss症候群等の他の上部消化管出血でも同様の症状を呈する。

また大腸や小腸からの下部消化管からの出血の場合、これを受けないで排出されるため「赤い便・血便」として生じてくる。

腹部の激痛・筋性防御(腹膜刺激症状)

出血していても胃潰瘍・十二指腸潰瘍の腹痛はそこまで強くなく強い腹痛がある場合は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜刺激症状である場合が多い。



●検査

血液検査

出血があれば貧血(Hb・RBC低下)が認められ、持続消耗性出血による小球性低色素性貧血(MCV低下)を呈してくる場合が多い。

大量出血である場合には貧血があっても、MCV低下がみられないこともある。

また活動期の出血の場合、胃内に蛋白成分が漏出し蛋白異化による尿素窒素(BUN)が高くなることでBUN/Cr比の上昇が認められ臨床的に出血兆候の指標として用いられる。



内視鏡検査

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断・治療において上部消化管内視鏡が基本となってくる。

他の消化管病変の精査・鑑別も含めて、一般的に広く行われる。同時に治療も行える利点がある。




消化管造影検査

いわゆる「胃透視(MDL)」は旧来より広く行われている。

所見から消化性単純潰瘍が疑わしい場合に、精査として行われることはほとんどなく、上記の内視鏡検査が行われる。

悪性腫瘍に付随する潰瘍病変である場合には、病変の位置や大きさが内視鏡検査よりも客観的に描出できるため、内視鏡検査の後であっても行われることが多い。


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2014年07月28日

ニコチン酸&ナイアシン

●ニコチン酸&ナイアシン

ニコチン酸(ニコチンさん、英: nicotinic acid)とは、3つの異性体が存在するピリジンカルボン酸に属する有機化合物である。

ニコチン酸アミドとともにナイアシンとも呼ばれ、ビタミンB3でもある。(ニコチン酸の生理活性は記事 ナイアシンに詳しい。)






●ニコチン酸の歴史

化学的には1867年にアルカロイドのニコチンを酸化して得られるカルボン酸として発見され、ニコチン酸という慣用名を与えられる。

1911年に鈴木梅太郎およびC.Funkらが生体より抗ペラグラ因子(こうペラグラいんし、pellagra‐preventive factor)として単離した。

ニコチン酸がビタミンであることは1937年にC.A.Elvehjemによって明らかにされた。




●製法・生合成

3位に側鎖をもつβ-ピコリンなどピリジン誘導体を硝酸や過マンガン酸カリウムなど強い酸化剤で酸化すると得られる。

また、ピリジン環を構築する方法でも合成される。ニコチン酸の銅塩は水に溶けにくい。

動物・菌類では生体内で、トリプトファンからキヌレニン、3‐ヒドロキシアントラニル酸を経由して、一方、植物や細菌ではアスパラギン酸とグリセロール近縁代謝物質であるC3ユニットとから生合成される。




●ナイアシン (Niacin) は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB3 ともいう。

水溶性ビタミンのビタミンB複合体の一つで熱に強く、糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠である。

循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがある。

欠乏すると皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じる。

エネルギー代謝中の酸化還元酵素の補酵素として重要である。




●一日の目標摂取量

NE(ナイアシン当量)に換算して表記する。

動物性蛋白質に1.4%,、植物蛋白質中に1.0%トリプトファンを含むものとし、また、トリプトファン60mgからナイアシン1mgが生合成されるものとし、食品中に含まれるナイアシン含量に加えてナイアシン当量を算出する。



成人男子 14〜17mgNE


成人女性 12〜13mgNE


許容上限摂取量を30mgNEとする。

さらに、摂取エネルギー1,000kcalに対し4.8mgNEを加える。

100mgNEを超えると過剰障害がおこることもある。

生体内においては、ナイアシンはトリプトファンから生合成される。

ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。

このため、通常の食生活を送る上では欠乏症に陥ることは多くない。

トウモロコシを主食とする場合、トウモロコシのトリプトファン含量が少ないため、ナイアシンとトリプトファンがともに欠乏し、ペラグラなどの欠乏症状を呈する場合がある。

また、ロイシンを非常に多く含むモロコシを主食とする場合、過剰のロイシンにより(トリプトファンをニコチン酸に変換する際に重要な役目を持った酵素である)キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの阻害が起こり、結果として欠乏症に陥る可能性がある。

また、ビタミンB6欠乏もナイアシン欠乏を促進しうる。

統合失調症の治療にナイアシンが効果があるとされている。

カツオ、サバ、ブリ、イワシ、レバー、鶏ささみ、マグロ、シラス干し、たらこ、豆類、コーヒー


以上
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2014年07月23日

スタチンについて

●スタチンについて

スタチン (Statin)、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称である。

1973年に日本の遠藤章らによって最初のスタチンであるメバスタチンが発見されて以来、様々な種類のスタチンが開発され、高コレステロール血症の治療薬として世界各国で使用されている。

近年の大規模臨床試験により、スタチンは高脂血症患者での心筋梗塞や脳血管障害の発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされている。





●スタチンの発見

1971年、三共(現:第一三共)の発酵研究所に所属(当時)していた遠藤章のグループは、HMG-CoA還元酵素を阻害する物質の研究を開始した。

HMG-CoA還元酵素はメバロン酸の合成に必要な酵素であり、メバロン酸は菌類の細胞膜・細胞骨格構成成分の重要な素材であることから、自己防衛手段としてこの酵素を阻害する物質を持つ微生物が存在するのではないかと彼らは考えたのである。

1973年、6,000種に及ぶ微生物を検索した結果、遠藤らはアオカビの一種 (Penicillium citrinum) から最初のHMG-CoA還元酵素阻害薬であるメバスタチンを発見した。


彼らはメバスタチンの構造やHMG-CoA還元酵素を阻害するメカニズムについて解析すると共に、実際に血中のコレステロール値を低下させることができるかどうか、動物実験による検討を行った。

ラット・マウスなど齧歯類では再現性のあるデータを得られなかったものの、ニワトリやイヌ、そしてより人間に近いサルでは血中コレステロール値は20-50%程度低下し、メバスタチンの効果を実証することに成功した。




●スタチンの製品化

ヒトの脂質異常症患者や健康なボランティアを対象にした小規模試験においてもメバスタチンの有効性が示され、1979年に日本国内での臨床試験が開始された。

しかし、長期高濃度投与実験を行っていたイヌで副作用が発生したことを受け、臨床試験は1年余りで中止となった。


一方、メバスタチンの効果に関心を寄せていたアメリカの大手製薬企業・メルク(MSD)社は、遠藤からサンプルやデータの提供を受けながら独自に研究開発を進めた結果、コウジカビの一種 (Aspergillus terreus) から新たなスタチンであるロバスタチンを分離することに成功した。


その後の臨床試験で、ロバスタチンは安全性が比較的高く、メバスタチンと同程度のコレステロール低下作用を持つことが示された。

1987年、アメリカ食品医薬品局(FDA)から医薬品としての認可を受け、ロバスタチンは製品化された最初のスタチンとなった。



高コレステロール血症は(心血管障害・脳血管障害を導く)動脈硬化症の主要なリスク要因の一つと考えられている。スタチンの発見は、高コレステロール血症と関連疾患の予防、および基礎研究に多大な進歩をもたらした。

遠藤と共同研究を行い、コレステロールの代謝・作用機序を解明したアメリカのマイケル・ブラウンとジョーゼフ・ゴールドスタインの2名に、1985年度のノーベル生理学・医学賞が贈られている。

遠藤もまた「スタチンの発見と開発」における一連の業績により、2006年の日本国際賞、さらに2008年には「アメリカのノーベル医学生理学賞」とも言われるラスカー賞(臨床医学研究部門)を受賞した。

日本では、東海大学内科助教授(当時)中谷矩章、京都大学老年科教授(当時)北徹、金沢大学内科助教授(当時)馬渕宏らにより、1989年にプラバスタチン(商品名メバロチン)が製品化された。



●スタチンの作用機序

体内に吸収されたスタチンは、主に肝臓に分布する。

スタチンはメバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することで、肝臓でのコレステロール生合成を低下させる。

その結果、コレステロール恒常性維持のため肝臓でのLDL受容体発現が上昇し、血液から肝臓へのLDLコレステロールの取り込みが促進される。

LDLは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管壁にアテロームを形成して動脈硬化症の原因となる。

コレステロール生合成の抑制が持続することにより、血液中へのVLDL(主にコレステロールとトリグリセリドからなるリポ蛋白)分泌も低下するため、血漿トリグリセリド値も低下する。



●スタチンの副作用

スタチンの投与によってみられる副作用には、腹痛・発疹・倦怠感などのほかに、重篤なものとして横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などがある。

このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあるため、投与時にはクレアチンキナーゼやミオグロビンなど筋原酵素の動態に注意を払う必要がある。

高用量のスタチンを処方した場合、急性腎障害による入院率が上昇するとの報告がある。



●スタチンの相互作用

脂質降下薬の一種であるフィブラート系薬剤とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まることが知られており、これら2剤の併用は原則禁忌とされている。

2001年にはセリバスタチンとゲムフィブロジル製剤を併用した症例で高頻度に横紋筋融解症が発生することが報告され、セリバスタチン製剤の自主回収が行われた。


以上


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脂質降下薬とは?

●脂質降下薬とは?

脂質降下薬(ししつこうかやく、英: LLD, 英: lipid lowering drug, 英: hypolipidaemic agent)にはHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)、フィブラート系薬剤、陰イオン交換樹脂(レジン)、プロブコールなどがある。

また、魚油(EPAやDHA)、植物ステロール、ビタミン剤(ニコチン酸、ビタミンE)にも、日本の健康保険上の適応を持つ製剤がある。




●個々の薬の説明

・スタチン(英: Statin) − 肝細胞のHMG-CoA還元酵素を阻害し、細胞内コレステロール含量を減らしLDL受容体を up regulation (受容体の増加)させて、血液からのコレステロール取り込みを図る。


・フィブラート系薬剤(英: Fibrate) − 核内受容体のPPAR-α(英: Peroxisome proliferator-activated receptor alpha)に作用して、脂質合成に関わる蛋白の合成を制御する。また、LPL(リポタンパク質リパーゼ、英: Lipoprotein lipase)の発現を増やし、血管内皮でのVLDLやカイロミクロンの異化を促進させる。ベザフィブラート(英: Bezafibrate、商品名ベザトールSR)、フェノフィブラート(英: Fenofibrate、商品名リピディル)がある。


・レジン(英: Bile acid sequestrants (resins) ) − 一番歴史がある。体内に吸収されないという意味では安全性が高いので、思春期や妊娠を予定した家族性高脂血症患者にも安心して使用できる。最初に脂質低下療法が虚血性心疾患の予防につながる事が証明された治験 LRC-CTTP (Lipid Research Clinics Coronary Primary Prevention Trial) で用いられた薬である。コレステロールは胆汁で排泄されるが回腸末端まで流れる間に再吸収される(腸肝循環)。再吸収を阻害して便中に排泄すればコレステロール値は下がる。さらに、LDL受容体を up regulation させて、血液からのコレステロール取り込みが増す。コレスチミド(商品名コレバイン)。


・プロブコール(英: Probucol) − 作用機序がまだはっきりしないがスカベンジャー受容体の一種でHDLの取り込みにも携わる SR-BI (scavenger receptor class B type I) 受容体の発現を増やし、HDLの異化をすることでコレステロール逆転送回路を活性化させるといわれる。コレステロール低下度以上に、動脈硬化巣の退縮がみられる。抗酸化作用もあるとされている。プロブコール(商品名シンレスタール、ロレルコ)。


・エゼチミブ(英: Ezetimibe) − 商品名「ゼチーア」(当初は「ゼチア」を予定)。小腸の上皮細胞管腔側に発現するNPC1L1( Niemann-Pick C1 Like 1)を阻害し、コレステロール及び植物ステロールの吸収をプラセボに比べ58%抑制する。容積の多い呑みにくいレジンと違い小さな錠剤で、スタチンとの合剤も開発されている。


・魚油 − 転写因子である SREBP-1 (ステロール調節エレメント結合タンパク質-1)を介して脂肪酸合成を抑制する。またPUFA(多価不飽和脂肪酸)として代謝されPGI3(プロスタグランジンI3)になり抗血小板作用をあらわす。粥種破綻に伴う血栓の予防や慢性閉塞性動脈硬化症における血行改善という効用もあわせもつ。魚は旬があり産地や季節でその脂肪組成は大きく変わり、摂りたくないコレステロールを多く含むトロなどの食材もある。製剤としてはイワシを精製したEPA(エイコサペンタエン酸、商品名エパデール)があり、日本で行われたJELIS試験で虚血性心疾患の再発予防効果が確認された。同じ成分をつかった特定保健用食品(トクホ)も販売されている。


・植物ステロール − コメ油のγオリザノールなど。腸肝循環する胆汁のミセルにとけ込み、動物性脂質であるコレステロールの腸管での取り込みを競合阻害するのでコレステロール値が低下する。医薬品としても販売されているが、特定保健用食品(トクホ)として活用されている。


・ニコチン酸 − 商品名としてペリシット(一般名:ニセリトロール)などがある。レジンやスタチンに併用する例が最近では多い。他の薬では下がらないLp(a)(英: Lipoprotein(a)、リポタンパク質(a)、リポ蛋白スモールエー)を若干下げる。ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称をナイアシン(ビタミンB3)という。


・ビタミンE − 大量投与による動物実験例やコホートでの食事調査によると動脈硬化症を改善するとされるがMicroHOPEやHPSといった前向き試験では有用性が示されなかった。HOPE-TOOでは心不全が増加したという却って悪い結果も報告されている。


・オルリスタット − 日本において合法的に(医師による処方あるいは個人輸入できる)入手できる医薬品のうち、唯一中枢神経系に作用しない肥満治療薬。、ロシュからはXenicalレジスタードマーク(ゼニカル)、グラクソ・スミスクラインからはAlliレジスタードマーク(アライまたはアリ)の商品名で販売されている。




以上


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2014年07月21日

単純性尿路感染症では大腸菌をはじめとする(  A  )が起炎菌の主体である

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4)基礎医学、薬学の試験問題 286
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問題1.次の文章のかっこに入るのは何番か?

尿路感染症は尿流障害を引き起こす尿路基礎疾患の有無により、
単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症とに分けられる。

単純性尿路感染症では大腸菌をはじめとする(  A  )が起炎菌の主体である。

(1)グラム陰性桿菌

(2)グラム陽性球菌









=================
   正解
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(1)グラム陰性桿菌






問題2.次の文章のかっこに入るのは何番か?

複雑性尿路感染症では近年起炎菌の分布が大きく変動した。
1990年以降では、腸球菌やブドウ球菌などの(  B  )
の分離頻度が増加した。

(1)グラム陰性桿菌

(2)グラム陽性球菌










=================
   正解
=================

(2)グラム陽性球菌






問題3.次の文章は正しいか?

膀胱炎では、排尿痛、頻尿、残尿感、下腹部痛、
血尿などがみられるが、一般に症状は軽度で、無症状
のことも多い。
また、膀胱炎では一般に発熱を伴う。

(1)正しい  (2)間違い







=================
   正解
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(2)間違い

正しくは「また、膀胱炎では一般に発熱を伴わない。」です。








問題4.「膀胱炎」は次のどれか?

1)enteritis

2)nephritis

3)cystitis








=================
   正解
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正解は「3)cystitis」です。


*1)enteritis=腸炎

*2)nephritis =腎炎
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2014年07月19日

脂質異常症とは?(3)

●脂質異常症とは?(3)

●投薬による治療

スタチン系などの脂質降下薬で、ある程度血中の中性脂肪やコレステロールを下げることができ、合併症の発症リスクが下がるとされる(→根拠に基づいた医療)。

ただし、薬剤治療は脂質異常症の原因を解決するものではないので中止すればまた以前の値に戻ることが多く、そのことを指して「一生やめられない」と表現されることもある。

これは、麻薬のように身体依存性があったり、ステロイド製剤のように急に中止できないという意味ではない。

根本的なコントロールには生活改善が望まれるが、遺伝素因も大きいため必ずしも生活習慣だけで治療できるものではない。




高LDL-Cの治療

HMG-CoA阻害薬であるスタチン系が第一選択となる。

重大な副作用としては肝障害と骨格筋障害が知られている。

筋肉痛といった症状が出現することが多く、筋炎や横紋筋融解症は極めて稀である。

筋疾患や甲状腺機能低下症が認められる場合は横紋筋融解症のリスクが高まるため注意が必要である。

高齢者や肝機能障害、腎機能障害がある場合も注意が必要である。

重症(目標値よりも50 mg/dL 以上高い)であればアトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール)が選択されることが多く、軽症(目標値との差が30 mg/dL 以内)ならばプラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス)、薬物相互作用が気になる場合はプラバスタチン(メバロチン)、ピタバスタチン(リバロ)が選択されることが多い。

相互作用はマクロライド系抗菌薬、アゾール系抗真菌薬、カルシウム拮抗薬など多岐にわたる。




高TGの治療

高トリグリセリド血症の治療には、フィブラートがよく用いられる。

フィブラートにはHDL-Cを増加させる作用もある。

肝障害、横紋筋融解症のリスクがあり、そのリスクは腎機能障害時に増悪する。

また胆汁へのコレステロールの排出を促すため、胆石症を起こすことがあり、既往がある場合は注意が必要である。

またSU剤やワーファリンとの相互作用も知られている。フェノフィブラート(英語版)(リピディル、トライコアなど)とベザフィブラート(英語版)(ベサトールSR、ベザリップなど)が知られている。

フェノフィブラートは尿酸低下作用もあるが、一過性の肝機能障害を起こしやすく、肝障害のある患者では避けられる傾向がある。



LDL吸着療法による治療

LDLアフェレーシスといわれ、重度の家族性脂質異常症を患う人などに行う治療法である。

患者の血液を取り出し、LDLなど不要なものをろ過して体内に戻す方法で、血液中のコレステロール量は急激に減少するがすぐに元に戻ってしまうため、2週間に1度は治療を行う必要がある。

しかし、これも根本的な解決には至らない。




●脂質異常症に由来する疾患

動脈硬化症

自覚症状はない場合が多いが、血管壁に徐々にコレステロールが蓄積され動脈硬化症が進行することで血液の流れが悪くなる。

特に頭蓋内の血管がつまり、脳の一部が死滅する脳梗塞や、心臓の冠動脈の血管が詰まる心筋梗塞になりやすい。

高血圧、糖尿病、肥満とともに「死の四重奏」と俗称され、現在はメタボリック症候群といわれる。




膵炎

膵臓の病気。

大量飲酒者では高トリグリセリド血症(高TG血症)をきたし易く、よく発症する。

また、リポタンパク質の一種のキロミクロンが著しく上昇するリポタンパク質リパーゼ(英語版) (LPL) 欠損症では、膵炎を来し易い。

乳児で乳を呑んだあと腹痛を来すなどの場合、中鎖脂肪酸 (MCT) を主体とした治療用ミルクを必要とする。

妊娠中に発症した場合、血液浄化療法によるキロミクロンの除去や中心静脈栄養による厳密な脂肪制限を必要とする場合もある。


以上


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2014年07月17日

脂質異常症とは?(2)

●脂質異常症とは?(2)

●低HDLコレステロール血症

低HDLコレステロール血症(低HDL-C血症)とは、血液中の善玉コレステロール (HDL) が少ない(40 mg/dL 未満)タイプの脂質異常症である。

特に女性において、心血管疾患の重要なリスクファクターとなりうる。

1997年の国民栄養調査では、日本人の男16%、女5%が該当する。

この病態は脂質が低下して起こるため、高脂血症から脂質異常症へと改名される主な理由となった。



●高トリグリセリド血症

高トリグリセリド血症(高TG血症)とは、血液中に中性脂肪(トリグリセリド)が多く存在する(150 mg/dL 以上)タイプの脂質異常症である。

1997年の国民栄養調査では、日本人の男45%、女33%が該当する。

内臓脂肪型肥満の人に多い。一時期(米国ATP-IIのころ)、その心血管疾患との関連が疑問視されたが、現在ではやはり関連はあると考える人が多い。

RLP-C (Remnant-like lipoprotein particles-cholesterol) が、高TG血症における動脈硬化発症への関与が示唆されている。
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2014年07月15日

脂質異常症とは?

●脂質異常症とは?

脂質異常症(ししついじょうしょう)は、血液中に含まれる脂質が過剰、もしくは不足している状態を指す。

2007年7月に高脂血症から脂質異常症に改名された。



●診断基準および病態による分類

脂質異常症(高脂血症)は診断基準による分類と病態による分類とがあり、診断基準による分類は、高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症といった種類があり、世界保健機関 (WHO) の基準に基づき日本動脈硬化学会が診断基準を定めている。

一方病態による分類はリポタンパク質の増加状態より分類 するもので、世界保健機関 (WHO) の1970年報告に基づき日本動脈硬化学会が2013年版脂質異常症治療ガイドに脂質異常症表現型の分類法として記載した。



●高コレステロール血症

高コレステロール血症(Hypercholesterolemia)とは、血液中の総コレステロール値が高い(220 mg/dL 以上)タイプの脂質異常症である。

生活習慣による脂質異常症の多くがこのタイプである。

1997年の国民栄養調査では、日本人の男27%、女33%が該当する。

フラミンガムスタディにおいて使用されたためこの値と生活習慣病との関連が注目されたという意味で重要だが、最近では悪玉コレステロール(低比重リポタンパク質、LDL)のほうが明らかに心血管リスクとの相関度が高いので、この値の重要度は廃れている。

現在WHO、アメリカ、日本のガイドラインは、いずれも総コレステロール値に注目していない。

但し、LDLコレステロールの直接測定法は、主に日本で使われており、欧米では総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール値から計算するLDLコレステロール値(Friedewald の計算式{LDL-C=TC-(HDL-C)-TG/5}を使用しており、わが国でも日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」からFriedewald(この計算式によるLDLコレステロール値を用いることとなった(注: 計算式は TGが400mg/dL未満のとき有効)。



●高LDLコレステロール血症

高LDLコレステロール血症(高LDL-C血症)とは、LDL中のコレステロール(悪玉コレステロール)が血液中に多く存在する(140 mg/dL 以上)タイプの脂質異常症である。

アメリカ合衆国のガイドラインATP-III によれば、コレステロールの検査値の中では唯一心血管疾患の絶対的リスクファクターであり、他の検査値である善玉コレステロール(HDL、高比重リポタンパク質(英語版))、中性脂肪(トリグリセリド)と比較して明らかに重要度が高い。

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2014年07月13日

低血圧とは?

●低血圧とは

低血圧(ていけつあつ)とは、血圧が正常範囲を下回っている状態である。


●低血圧の定義(診断)

高血圧は日本高血圧学会にて基準が示されているが、低血圧には基準が存在しない。

おもに収縮期血圧(非専門用語で主に血圧の「上」と呼ばれる数値)で80mmHgを下回ると次のような症状が強く出やすい。



●低血圧の症状

以下の症状を起こす事がある。

頭痛、めまい、全身倦怠感、片頭痛脳や頭部筋肉の血行不良のため頭痛やめまいを起こす事があり、全身の筋肉や肝臓の血行不良のため全身倦怠感を起こす事がある。

不眠、朝起きの不良脳の血行不良のため不眠や朝起きの不良を起こす事がある。

食欲不振、吐き気、下痢、便秘、腹痛消化器の血行不良のため食欲不振や吐き気や下痢や便秘や腹痛を起こす事がある。

動悸、息切れ、不整脈心肺の血行不良のため動悸や息切れや不整脈を起こす事がある。

発汗血行不良による交感神経亢進のため発汗を起こす事がある。

冷え皮膚の血行不良のため冷えを起こす事がある。乗り物酔い

血圧が低いだけで何ら症状の無いこともあるが、気分が落ち着かなかったり、片頭痛になったりイライラするなどの症状が訴えられることがある。

早起きの朝が苦手などの症状が訴えられることもあるが、現時点でこれに対する医学的な裏付けは存在しない。



●低血圧の分類

本態性と2次性(症候性)、急性と慢性、とを分ける分類がある。

また、どんな時に起こったかによって起立性低血圧、食後性低血圧、入浴時低血圧、透析低血圧等を分けて考える事がある。

本態性低血圧は原因不明の低血圧であり、2次性低血圧(または症候性低血圧)は特定できた原因疾患による症状の一つとして起こる低血圧。

急性低血圧は急に起こる低血圧であり、慢性低血圧は慢性に起こる低血圧。

起立性でも、原因不明の場合は本態性起立性低血圧と言い、原因疾患による症状の一つとして起こる場合は2次性起立性低血圧(または症候性起立性低血圧)と言う。

食後性低血圧は食後におこる低血圧であり、入浴時低血圧は入浴時におこる低血圧。

透析低血圧は透析患者に起こる低血圧であり、更に一過性の透析時低血圧と慢性の非透析時低血圧に分けられる。




●低血圧の原因

本態性低血圧の原因は不

2次性低血圧の原因は急性と慢性で分けて考えられる。

急性2次性低血圧の原因

自律神経障害急性腎不全は2次性自律神経障害を起こす事があるので急性低血圧を起こす事がある。

発作性自律神経性失神(神経調節性失神)強い精神的ショック、暑いところでの長時間の起立、空腹、向精神薬、等は自律神経失調を起こす事があるので急性低血圧を起こす事がある。

内分泌疾患褐色細胞腫術後はカテコールアミンの分泌量が急激に低下する事があるので急性低血圧を起こす事がある。


循環血液量の減少出血や血清の喪失で全身の循環血液量が減少すると急性低血圧を起こす。

また、食後は内臓血管を急に拡張させる事があるので急性低血圧を起こす事があり、これを食後性低血圧と言う。

また透析に伴う、除水による細胞外液量の減少、血漿浸透圧の低下、自律神経障害、等は一過性の低血圧を起こす事があり、これを透析低血圧と言う。

心拍出量の減少肺性心、大動脈弁狭窄症、急性心筋梗塞、特発性心筋症、亜硝酸製剤、等は心拍出量を減少させる事があるので急性低血圧を起こす事がある。

薬剤性降圧剤、等は急性低血圧を起こす事がある。


慢性2次性低血圧の原因

自律神経障害

1次性シャイ・ドレーガー症候群やパーキンソン病などの神経が変性する疾患は血圧調節を司る神経を障害するので慢性起立性低血圧を起こす。

2次性糖尿病性腎症、慢性腎不全、アミロイドーシス、等は2次的に自律神経を失調させる事があるので慢性低血圧が起こす事がある。

内分泌疾患アジソン病、低アルドステロン血症は低ナトリウム血症を起こす事があるので慢性低血圧を起こす事がある。

また、カルチノイド症候群は血管運動作用を持つホルモン様物質を作る事があるので慢性低血圧を起こす事がある。

心血管疾患静脈瘤や静脈弁欠損症等は静脈還流を低下するので、慢性低血圧を起こす事がある。

また、動静脈奇形は動脈から静脈に血液を短絡させるので慢性低血圧を起こす事がある。

循環血液量の減少過剰利尿等は全身の循環血液量を減少させるので、慢性低血圧を起こす事がある。

また、透析は慢性の非透析時低血圧を起こす事がある。

心拍出量の減少慢性肺疾患による肺性心、弁膜症、慢性心筋梗塞等は心拍出量を減少させる事があるので慢性低血圧を起こす事がある。

薬剤性亜硝酸製剤、降圧剤、向精神薬、抗パーキンソン薬、等は慢性低血圧を起こす事がある。

その他低運動、無重力、寝たきり、等は慢性低血圧を起こす事がある。



以上

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急性糸球体腎炎(acute glomerulonephritis )は?

問題1.次の文章のかっこに入るのは何番か?

急性糸球体腎炎(acute glomerulonephritis )は、先行感染の後、
一定の潜伏期間をおいて発生する血尿、タンパク尿等が急激に出
現するが、先行感染としてはその80%以上が(  A  )に
よる上気道感染か皮膚感染である。

1=リケッチア

2=溶連菌





=================
   正解
=================

A=2=溶連菌

この菌による急性糸球体腎炎を溶連菌感染後急性糸球体腎炎
(post-streptococcal acute glomerulonephritis :PSAGN)
と呼び、最も狭い意味では急性糸球体腎炎といえばPASGNをさす。





問題2.次の文章のかっこに入るのは何番か?

PSAGNでは潜伏期間は約2週間である。小児で最も多く、
症状は血尿、タンパク尿、高血圧、糸球体濾過値の減少、浮腫が急激に
出現する。
(  A  )は強く、約半数で肉眼でも分かる。


1=タンパク尿

2=血尿







=================
   正解
=================

A=2=血尿







問題3.次の文章のかっこに入るのは何番か?

PSAGNの治療としては、安静、食事療法、抗生物質・利尿薬・血圧降下薬
などの対症的薬物療法で治療する。

例えば抗生物質としてはアモキシシリンなどの(  A  )抗生物質や
フロセミドなどの(  B  )が用いられる。



1=ペニシリン系

2=セフェム系

3=利尿薬

4=H2ブロッカー





=================
   正解
=================

A=1=ペニシリン系

B=3=利尿薬






問題4.「腎炎」は次のどれか?

1)hepatitis

2)nephritis

3)gastritis







=================
   正解
=================

正解は「2)nephritis 」です。


*1)hepatitis=肝炎

*3)gastritis=胃炎


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2014年07月11日

抗ヒスタミン薬とは?(2)

●その他のヒスタミン受容体

ヒスタミン受容体にはH2受容体もあり、これは胃の壁細胞に作用して、cAMPを増加させ、プロトンポンプから得られた水素イオンを塩酸の形で胃腔内に放出させる。

そのためH2作用を阻害すれば胃酸の分泌を抑えることができる。

H2受容体拮抗剤(H2-blocker、H2ブロッカーと医療現場では呼ばれることが多い)は主に胃に存在するH2受容体に働き、強力に胃酸分泌を阻害するので胃潰瘍、胃炎の治療薬として使用されている。

H2受容体拮抗剤が臨床で使用されてから、胃潰瘍の外科手術は激減した。

シメチジン、ラニチジン、ファモチジンなどが代表的。

H3受容体拮抗薬は肥満と注意欠損障害に適応がある可能性が指摘されている。

ただし、これらは通常「抗ヒスタミン薬」とは呼ばない。



●抗ヒスタミン薬の中枢作用

古いタイプの抗ヒスタミン薬(第一世代抗ヒスタミン薬)には強い眠気を誘うという副作用を持っている。

この副作用を利用して睡眠薬や乗り物酔いの薬として利用するケースもある。

ヒドロキシジン(商品名アタラックスP、アタP)が古くからこの目的で使用されてきたほか、ジフェンヒドラミン(商品名ドリエル)は2003年に睡眠改善薬として初めて市販が認可された。

子供の風邪などでも、ちょっと鎮静のかかった感じにして、ぐっすり寝て改善してもらう、といった色合いもあって、あえて古い世代の抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を用いることがある。

また、メジャートランキライザー等向精神薬の副作用を軽減する目的で使われる場合がある。

これは、ある種の抗ヒスタミン薬にある抗パーキンソン作用を利用するものである。

強力な睡眠薬の一つであるベゲタミンの中には抗ヒスタミン作用を持つ物質(塩酸プロメタジン)が混合されている。

これは、主成分である塩酸クロルプロマジンの副作用を軽減する目的で添加されている。

また、ピレチア(ヒベルナ)などを副作用を軽減する目的で出す場合もある。


以上


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2014年07月07日

抗ヒスタミン薬とは?

●抗ヒスタミン薬とは?

抗ヒスタミン薬(こうヒスタミンやく、Antihistamine)は、ヒスタミンの作用を抑制する薬品である。

特にH1受容体拮抗薬を指す。

抗ヒ剤と略称することもある。



●抗ヒスタミン薬の用途

花粉症などのアレルギーの諸症状を緩和させるため

風邪の諸症状緩和のため

睡眠改善薬として

乗り物酔いの薬として



●抗ヒスタミン薬の作用

アレルギーの中でI型(アナフィラキシー型)は、抗原 + IgE抗体が肥満細胞等のIgE受容体に作用し、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン等を放出させるのが契機となって起こる。

ヒスタミンには血管拡張作用があり、この作用によりアレルギーの症状である、くしゃみ、鼻水などが発生する。

風邪のアレルギー症状も同一の機序による。



この作用を担うヒスタミン受容体はH1受容体と呼ばれ、抗ヒスタミン薬はこの受容体の作用を抑制することで、アレルギー症状を抑える。

したがってアレルギーそのものや風邪そのものを治す薬ではない。

また、後述のように中枢神経系に作用して眠気を引き起こすことがあるので、服用後は四輪車、オートバイ、工作機械の運転といった、危険を伴う作業には従事しないことが勧められている。

特に、飲酒前後の服用は眠気をさらに引き起こし得る。

なお、日本国内においては、自動車の運転中に、この副作用の眠気による意識低下で人身事故を起こした場合、危険運転致死傷に問われる場合があり、さらに、服用を隠蔽すると過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱にも問われる場合がある。



●抗ヒスタミン薬の第一世代と第二世代

抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代に分類されている。

第一世代は脂溶性が高いため血液脳関門を容易に通過し、中枢神経系、特に視床下部に作用して眠気を引き起こす、即ち鎮静作用があると考えられている。

第二世代は鎮静作用は少ないものの、肝臓のP450系で代謝されるために他の薬物との相互作用が見られる場合がある。

第一世代はエタノールアミン系、プロピルアミン系、フェノチアジン系、ピペラジン系、ピペリジン系に分かれそれぞれ使い分けがある。

エタノールアミン系塩酸ジフェンヒドラミン(ベナ、レスタミンコーワ軟膏)などがここに含まれる。

鎮静作用が強いため夜に服薬させるなど工夫が必要である。

抗めまい薬としても使われるジメンヒドリナート(ドラマミン)もここに含まれる。

プロピルアミン系マレイン酸クロルフェニラミン(アレルギン、ポララミン、クロール・トリメトン)などがここに含まれる。

鎮静作用が少ないため第一世代の中では昼間の投与に適していると考えられる。


クロール・トリメトンは蕁麻疹の治療で用いられる。

フェノチアジン系塩酸プロメタジン(ピレチア)などが含まれる。

局所麻酔作用がある。ピペラジン系ヒドロキシジン(アタラックスP)などがここに含まれる。


鎮静薬、制吐薬としての使われ方が多い。

ピペリジン系塩酸シプロヘプタジン(ペリアクチン)などが含まれる。

食欲亢進、体重増加作用がある。



第二世代エピナスチン塩酸塩(アレジオン)、ロラタジン(クラリチン)、塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)といった薬がここに含まれる。

鎮静作用がほとんどないため非常に扱いやすい薬である。

妊婦に用いる場合は塩酸セチリジン(ジルテック)が良いと言われている。

なお第二世代抗ヒスタミン薬は抗アレルギー薬に分類されることが多い。


抗ヒスタミン薬は鼻炎の症状でよく用いられるがくしゃみや鼻漏、かゆみには有効だが鼻閉には効果がない。

鼻閉にはロイコトリエン拮抗薬という抗アレルギー薬が有効であると言われている。

抗アレルギー薬は効果が現れるのにひと月くらいかかるものも多く、医師の管理下で用いることが望ましい。

ラベル:アレルギー
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血栓形成には( A )系と( B )系の2つのルートが関与している。

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4)基礎医学、薬学の試験問題 284
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問題1.次の文章のかっこを埋めよ

血栓形成には( A )系と( B )系の2つのルートが関与している。








=================
   正解
=================

A=血小板

B=凝固






問題2.「便秘」は次のどれか?

1)heartburn

2)constipation

3)dysphagia







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   正解
=================

正解は「2)constipation」です。


heartburn:胸やけ


dysphagia:嚥下困難

(参考)
●esophag(o)- (食道)
gastroesophagitis;胃食道炎

●phag(o)- (貪食)
macrophage(マクロファージ);大食細胞






問題3.「糖尿病 」は次のどれか?

1)CFS

2)DM

3)RA







=================
   正解
=================

正解は「2)DM」です。


DM
diabetes mellitus
糖尿病

高血糖と糖尿とが持続的にみられる慢性の病気。
体内でぶどう糖がエネルギー源として利用される
ために必要なインスリンの不足によって起こる。
のどの渇き・多尿・空腹感・倦怠感などの自覚
症状があり、感染症・動脈硬化・白内障などの
合併症を起こしやすい。



CFS
chronic fatigue syndrome
慢性疲労症候群

・だるい、眠れない、集中力がない、発熱する、
リンパ節がはれる、関節痛や筋肉痛がある、など
の症状が数ヶ月つづいた状態

・過労が長いこと重なっておきることが多い


RA
rheumatoid arthritis
関節リウマチ

・多発性の関節炎を主徴とする慢性の炎症疾患

・経過中、関節以外の臓器にも病変がみられる
ため全身性疾患ともいえる








問題4.「心室性期外収縮」は次のどれか?

1)arrhythmia

2)PVC

3)VT








=================
   正解
=================

正解は「2)PVC」です。


PVC
premature ventricular contraction
心室性期外収縮

・心臓が収縮した後、次の正常な心拍がおこる前に、
心室で異常な心筋の興奮がおこる症状




arrhythmia
不整脈

・心臓の筋肉の収縮をになう電気刺激の流れ(刺激伝導系)の
リズムが遅くなったり速くなったりする病気

(参考)
a=否定
rrhythim=リズム(rhythm)




VT
ventricular tachycardia
心室性頻拍

・心室性期外収縮が連続的に発生した状態

・数連発程度のものから、持続して毎分100〜200回ぐらいの
頻脈となるものまである

(参考)
tachy- (速い、頻)
tachycardia;頻脈
tachypnea;頻呼吸、多呼吸



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2014年07月04日

ステロイド系抗炎症薬(3)

●ステロイド系抗炎症薬(3)


●ステロイド系抗炎症薬の副作用

副作用として過剰な免疫抑制作用が発現することによる感染症、クッシング症候群、ネガティブフィードバックとして副腎皮質機能不全、糖新生の促進による糖尿病、骨量の減少に伴う骨粗鬆症、消化管粘膜におけるプロスタグランジン産生抑制による消化性潰瘍などが知られている。

しかし、気管支喘息においてステロイドを吸入で用いた場合にはステロイド剤は呼吸器系の組織に局所的に作用し、血中移行する量が少ないため副作用が少ない。


●減量

ステロイド系抗炎症薬の減量に関して述べる。

ステロイド大量療法を長期間続けることは副作用のため難しく、原疾患のコントロールができ次第、原疾患が再燃しない程度、そして離脱症候群が起らないように漸減していくのが一般的である。

早い離脱はリバウンドを引き起こすため慎重に行う必要がある。

減量は各疾患のパラメータのモニタリングを行いながらする。

減量の目標はステロイドの投与の中止よりもPSL7.5mg/day以下の少量投与による維持であることが多く、疾患の活動性によって減量速度はかなり異なるため注意が必要である。

また、原疾患のコントロールにステロイドが不可欠ではない場合は、離脱症候群のみを防ぐように減量を行うためこの限りではない。

減量中の再燃は2倍量に戻って再スタートとする。

ステロイド離脱の時は、プレドニンのような半減期が短い製剤を用いて漸減する方が良い。

特に問題がない場合はPSL30mg/dayまでならば5mg/1week、PSL15〜30mg/dayまでならば5mg/2week、PSL10〜15mg/dayまでならば1mg/2week、10mg以下ならば1mg/4weekといった処方も知られている。


●血管炎のステロイド減量

血管炎に関しては欧州血管炎研究グループ(EUVAS)がPEXIVAS試験という臨床治験を2010年より行なっている。

対象はウェゲナー肉芽腫症と顕微鏡的多発血管炎であり、ステロイドパルス療法とシクロホスファミドが併用される。

この試験によって血管炎におけるPSLの標準的な投与法が決定される可能性がある。



●ステロイド系抗炎症薬の離脱症状

離脱症候群といわれる副腎不全はPSL20mg/day以下の投与で急速に減量した際に起りやすいとされている。

突然の内服中止、手術時、少量服薬時の減量には特に注意が必要である。

生理的糖質コルチコイドの分泌量はPSL換算で2.5〜5mg程度といわれている。

この量以上の投与が続くと副腎の機能の低下が徐々にあらわれる。

目安としてはPSL換算で7.5mg以上、3週間以上の投与を受けた場合は内因性副腎機能の抑制が起こっていると考える。

そしてPSL10mg/day以上を半年間投与を受けると殆どの場合、ストレス時の糖質コルチコイドの追加分泌は不可能となる。

そのため、副腎抑制となっている場合の感染症などのストレスを引き金に副腎不全は生じることもある。

PSL5mg/day前後に減量するときに副腎不全を疑う症状が出現することが多く、その場合、PSLを0.5〜1.0mg/2weekといったゆっくりとしたペースで減量し、さらに生理的な分泌に合わせ、朝の内服量を多くするといった微調整が必要となる。

副腎不全の発見は減量の服薬歴やステロイド投与中にもかかわらず好酸球が高いなどが参考になる。



●急性副腎不全

突然の内服中止などで起る場合が多い。

意識障害や痙攣とともに血圧の低下が起り、ショック症状を示す。

輸液や昇圧剤の反応に乏しくステロイドを投与しないと改善しない。

Na貯留作用(鉱質コルチコイド作用)もあるハイドロコルチゾンを100mg〜200mgを6時間毎に投与するのが一般的である。


●慢性副腎不全

だるさ、全身倦怠感などが主症状となり、特異的な所見にかける。

食欲不振、嘔気、便秘など消化器症状、やるきのなさ、うつ状態といった精神症状を訴える場合もある。

感染症などの重大なストレスがなければステロイド増量で対処できる。


●ステロイドカバー

手術時に行うことがある。

ステロイドカバーは手術成績にも影響がないとされている。

小手術ならば術前にハイドロコルチゾン100mgの静注する。

大手術ならばハイドロコルチゾン100mgを4から6時間毎に静注し経口摂取可能となるまで静注を続ける。

数日で減量し、元の服薬量に戻すのが一般的である。

高血圧が認められる場合はNa貯留作用の少ないデキサメサゾン静注とし、繰り返す場合は8時間毎にする。

これらは手術の侵襲に合わせて増減される。


●諸注意

外部からのステロイドホルモン投与(特に内服ステロイド薬)で副腎皮質のステロイドホルモン分泌能が抑制され、副腎皮質が萎縮・機能低下する。

これにより、特に急激な投与中止後に体内のステロイドホルモン不足による諸症状が見られることがある。

これをステロイド離脱症候群とよばれ、強い倦怠感、吐き気、頭痛、血圧低下などの症状が起こる。

このためステロイドの離脱に際しては、急激な中止・減量を避け、症状を考慮しながら少量ずつ段階的に減量するなどの細やかな治療計画が必要である。

自己判断で急激に服用を中止することは危険を伴うので、医師の指示のもとに行うことが大切である。

上記の様な多彩かつ重篤な副作用があるが、効果も高いので日本の医療現場では広く処方・販売される。

しかし市場には作用の強弱や体内動態の異なるステロイド剤は多数開発されているので、症状や副作用の程度により適切な薬剤を選択することも可能である。

副作用を回避する為にも、主治医は薬の性質や予想される副作用を前もって患者に伝え、患者は投薬により生じた症状は適切に主治医に伝え治療に反映させるといった対応(インフォームド・コンセント)が重要な薬剤である。


以上


ラベル:抗炎症薬
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2014年07月02日

ステロイド系抗炎症薬(2)

●ステロイド系抗炎症薬(2)


●ステロイド系抗炎症薬の臨床適応

臨床適応は極めて多岐にわたり、全ての医療用医薬品において最も健康保険の適応となる疾患が多い医薬品である。

さらに適応外ではあっても、積極的に臨床応用されている疾患も多く、いわば「万能薬」的な存在ともいえる。

その適応症は湿疹・皮膚炎、虫刺されのようなありふれたものから膠原病・悪性腫瘍などの難治性疾患にまで及ぶ。


●ステロイド系抗炎症薬の治療法の種類

●長期間の内服または注射による投与方法

対象となる疾患に対し十分な量から始める。

1日1回よりは1日3回分割の方が有効性は高くなるため、投与法は通常1日2 - 3回食後投与する。

すなわち内服は分割の方が効果的。

40mgを朝1回より、20mgを朝夕2回の方が効く。

本来の生体リズムは朝方ステロイド分泌が多いため少量投与の場合は朝1回とする。

また、夕・就寝前の服薬は、不眠を招くため、できるだけ避ける。


●その他の留意点

プレドニソロン(PSL)を5mg/day相当のコルチゾールは副腎から分泌されている。

PSLを長期にわたり5mg/day以上服用する場合は、骨粗鬆症予防のためビスフォスフォネート系薬剤を併用する。

PSLが20mg/day以下なら日和見感染リスクは少ない。

20-40mg/dayでは7倍に、40mg/day以上では35倍に日和見感染リスク増加。

点滴静注するときには10〜50%増しで内服と同量になるといわれている。

これは抱合型のまま腎から排出されるため生体内利用率が低下するためと考えられている。

PSLは胎盤を通らない。ベタメタゾンは胎盤を通過する。

通常妊婦にはPSL。胎児の治療はベタメタゾン。

授乳は服用から4時間あければ問題なし。

特に30mgまでならいつでも授乳可。



●1回のみの投与

急激な炎症を抑えたいときに行われる。効かせたい作用時間に応じて併用して使用されることもある。

1 - 3回の投与ならば副作用は考えなくてもよい。



●ステロイドパルス療法

ステロイドを静脈より短期間(通常は3日くらい)に大量に投与する治療法。

一般的にはメチルプレドニゾロン(mPSL1,000mg/day)を3日間投与し後療法としてPSLの大量療法を行い徐々に後療法を減量していく。

減量は原疾患の活動性が十分に抑え込まれるまで行わず、減量する場合も原疾患の再燃を起こさず、かつ離脱症状をおこなさない速度で行っていく。

ステロイド剤を大量に内服する治療とは完全に違う。

一般にはソルメドロールという短期間作用型の薬剤が使用される。

大量に投与するが副作用は出にくい。

輸液製剤200ml程度に混注し1〜2時間以上で投与することが多い。

これは不整脈を防止するためである。

ステロイド系抗炎症剤は免疫抑制剤に比較して効果発現が早いことが知られている。

そのため、初期治療や臓器障害がある場合はまずはパルス療法を行うのが一般的である。

ループス腎炎(W型、chronisity+)や重症CNSループス、ANCA関連疾患、筋炎関連間質性肺炎などはPSL単剤ではコントロールが難しく、後療法の段階から免疫抑制剤とPSL併用療法を行うが、免疫抑制剤はステロイド減量のために用いることも多い。

ラベル:抗炎症薬
posted by ホーライ at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ステロイド剤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする