2014年06月15日

小児喘息 気管支喘息の治療

●小児喘息

小児喘息は成長とともに軽快する場合が殆どであ

まれに成人喘息に移行する場合がある。


小児喘息の既往があったとしても、成人喘息患者のような薬物の制限はない。小児期に喘鳴が認められる場合はウイルス感染、アレルギー、異物の可能性がある。

重要な鑑別疾患としてはRSウイルスによる細気管支炎があるが、細気管支炎では一日中喘鳴が聴取されるが、気管支喘息はヒューヒュー、あるいはゼイゼイとした喘鳴が夜間に多い。

小児喘息の診断には、他疾患の除外が必要である。

2歳から3歳のころ頻繁に喘鳴を繰り返す 幼児は小児喘息に移行するリスクが高いと考えられている。



major criteria1.

医師によって診断された両親いずれかの喘息の既往。

2.医師によって診断されたアトピー性皮膚炎



minor criteria1.

医師によって診断されたアレルギー性鼻炎。

2.上気道感染と関連しない喘鳴。

3.4%以上の好酸球の増加



major criteriaひとつまたはminor criteria2つで小児喘息の確率は76%である。

逆に満たさなければ5%の確率となる。

小児喘息のガイドラインとしてはJPGL2005が知られている。

春先や秋口などが発作の好発時期である。3歳から5歳の発症が多い。

β2刺激薬の吸入とステロイドの全身投与が基本となる。

アミノフィリンは嘔吐といった副作用をはじめ、血中濃度の調整が難しく、安全性、簡便性を考慮すると消極的になる。



吸入は吸入器(定量噴露吸入器とドライパウダー吸入器)とネブライザーによる吸入が知られている。

吸入薬の量は小児であろうが成人であろうが変化がないのが一般的である。

これは成長するほど上手に吸入できる傾向があるため、末梢気道に達する薬物量が増えるためである。

ネブライザー治療に影響を与える因子としては呼吸パターン、口呼吸か鼻呼吸か、気道狭窄病変の程度、人口気道の存在などがあげられている。



小児喘息の治療の目標とは軽いスポーツを含め、日常生活を普通に行うこと、昼夜を通じて症状がないこと、β2刺激薬の頓用の減少、学校の欠席の防止、肺機能障害の予防、PEFの安定化とされている。

小児分野では年齢により薬剤の選択も異なり専門性の高い分野であるがJPGLにてかつてよりは簡略化されている。

大まかに述べると2歳未満の乳児喘息、2〜5歳、6歳から15歳という区分で分けられている。

アトピー性が多いためDSCGを積極的に使うこと、吸入技術の問題で吸入ステロイドの適応が若干異なる。



ラーメンやうどんが食べられるようならば、原理的には吸入は可能であり、吸入をサポートするスペーサーも各種販売されている。

乳児喘息では中等度でも専門医の下で治療を行うこと、2〜5歳では軽症持続型の段階ではICSは考慮に過ぎない、6歳以上では軽症持続型以上ならばICSが原則となるといった差がある。

現在、日本で増加する小児喘息に関しても、安全かつ有効な標準化ダニアレルゲンを用いた減感作療法をすることで、小児喘息患者の肺機能の改善,成長,維持を助けて健康な成人を育てることが厚生医療行政の急務であると主張している医師もいる。



●気管支喘息の治療

気管支喘息治療薬は「長期管理薬」(コントローラー)と「発作治療薬」(リリーバー)に大別される。

発作が起きないように予防的に長期管理薬を使用し、急性発作が起きた時に発作治療薬で発作を止める。

発作治療薬を使う頻度が多いほど喘息の状態は悪いと考えられ、長期管理薬をいかに用いて発作治療薬の使用量を抑えるかということが治療の一つの目標となる。



長期管理薬では吸入ステロイド薬が最も重要な基本薬剤であり、これにより気管支喘息の本体である気道の炎症を抑えることが気管支喘息治療の根幹である。

重症度に応じて吸入ステロイドの増量、経口ステロイド、長時間作動型β2刺激薬(吸入薬・貼り薬)、抗アレルギー薬、抗コリン剤などを併用する。

長期管理薬を使用しても発作が起こった場合は、発作治療薬を使用する。

発作治療薬には短時間作動型β2刺激薬、ステロイド剤の点滴などが使われる。



1997年、β2刺激薬であるベロテックエロゾル(臭化水素酸フェノテロール)の乱用による死亡者増加が日本において大きな問題となった。

これはβ2刺激薬の副作用によるものとは言えず、β2刺激薬の吸入により一時的に症状が改善するために大発作に至る発作でも病院の受診が遅れたことが主因と考えられている。



●抗炎症薬

経口ステロイド薬1950年代にコルチコステロイドが精製されるとすぐに喘息の治療に用いられた経歴がある。

気管支拡張薬で反応しなかった重度の喘息でも極めて有効であったが、長期にわたって全身投与を行うと多くの有害な副作用が出現するため、現在は緊急時の短期間投与のみが行われる。

例外としてはステロイド依存性喘息であり、やむをえず、長期ステロイド全身投与を行う。

民間療法でステロイドの有害性を過度に強調する情報があるが、これらは吸入ステロイドをはじめとする現在の治療ができる以前の報告である。

吸入ステロイド薬(ICS)現在、喘息治療として第一選択として用いられている。

強力な抗炎症作用を持ち、長期管理薬として用いられるものが多いが、シムビコートのような発作治療薬として使われるものもある。

バイオアベイラビリティ(吸収されて血流中に残り、全身に分布する量)が低い薬剤が用いられるため、全身性の副作用(高血圧、肥満、骨粗しょう症、身長の伸びの抑制など)は殆どないと考えられている。


薬物量においても、全身投与ではmg単位必要であるのに対して、吸入ではμg単位で治療が可能である。

嗄声、口腔内カンジダなどの副作用は起こりえるが、吸入直後に入念なうがいをして喉と口腔内から薬剤を洗い流すことで防ぐことができる。

ICSを低用量から高用量へ増量するよりも低用量ICSにLABAやLTRAを併用した方がコントロールが良くなる傾向がある。

このような報告や吸入薬は全身影響が少ないこともあり、合剤が販売されるようになっている。合剤の代表がアドエア、シムビコートである。

posted by ホーライ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 気管支喘息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。