2014年01月14日

自律神経とは?

自律神経系(じりつしんけいけい、英: Autonomic nervous system)は、末梢神経系のうち植物性機能を担う神経系であり、動物性機能を担う体性神経系に対比される。

自律神経系は内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序という2つの系からなる。

交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されている。



●自律神経系の機能

随意神経系である体性神経系と対照して、不随意である「自律神経系」は循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝のような不随意な機能を制御する。

自律神経系はホルモンによる調節機構である内分泌系と協調しながら、種々の生理的パラメータを調節しホメオスタシスの維持に貢献している。

近年では、自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」として扱われることもあり、古典的な生理学、神経学としての自律神経学のみならず、学際領域のひとつである神経免疫学、精神神経免疫学における研究もなされている。



交感神経と副交感神経の2つの神経系からなり、双方がひとつの臓器を支配することも多く(二重支配)、またひとつの臓器に及ぼす両者の作用は一般に拮抗的に働く(相反支配)。


交感神経系の機能は、闘争か逃走か(fight or flight)と総称されるような、身体的活動や侵害刺激、恐怖といった広義のストレスの多い状況において重要となる。



以下に運動時の生体反応を例にして、交感神経系の機能を述べる。


交感神経系の亢進により血管が収縮し、心拍数が増加する。

この結果血圧が上昇し末梢組織の還流量が増加する。このような作用の結果消化管、皮膚への血液量が減少するが、一方で骨格筋への血液供給量が増加する。

これは骨格筋の運動に伴う局所因子の影響に加えて、筋血管では血管拡張に関与するβ受容体が豊富なことも一因である。

気管支平滑筋は弛緩するがこれは気管径の増加をもたらし結果として、一回換気量の増加つまりガス交換効率を向上させることとなる。



一方、代謝系に視点を移す。

運動時には骨格筋において多量のエネルギー基質(グルコース)を消費するため血糖維持が重要である。

なかでも肝臓からのグルコース放出は重要である。

交感神経は肝臓でのグリコーゲン分解と脂肪組織での脂肪分解を促し血液中に必要なエネルギーを与える。

加えて、交感神経が骨格筋のグルコース取り込みを直接的に促進することも報告されている。

交感神経は内分泌器官にも作用し副腎髄質ホルモン分泌、グルカゴン分泌を刺激しやはり末梢組織へのエネルギー供給に促進的に作用する。

結果として、骨格筋を中心とした組織において豊富な酸素とグルコースが供給される一方で、皮膚や消化管へは供給が乏しくなる。

このように、自律神経系は各臓器の機能を統合的に調節することで、結果として個体の内部環境を合目的にする。



心機能亢進、気管支の拡張、肝グリコーゲン分解、脂肪分解等が交感神経系の支配下にある一方で、主に安静時に重要となる消化管機能(消化管運動、消化液分泌)、排尿機能の亢進は副交感神経系のコントロール下にある。

心拍数を減少させ、血圧を下げて、皮膚と胃腸への血液を戻し、瞳孔と細気管支を収縮させて、唾液腺分泌を刺激して、蠕動を加速する。 副交感神経系は代謝においては同化傾向に働く。

交感神経系、及び副交感神経系が個々の臓器、器官に及ぼす効果についてはそれぞれの項目を参照されたい。





●自律神経系の薬理学的基礎

交感および副交感神経線維は、1つの細胞またはニューロンだけから成る自発的な運動神経と対照して、「神経節前」及び「神経節後」神経細胞の両方がある。

それらは神経節で会合し、シナプスの化学伝達物質アセチルコリン(ACh)により、神経インパルスが神経節で細胞から細胞へ伝達される。


アセチルコリンは最初のニューロン(節前ニューロン)から放出され、2番目のニューロン(節後ニューロン)のニコチン型受容体に結合し、リガンド依存性Naチャネルを開き、脱分極を起こしてインパルスを発生、ニューロン末端で2番目の神経伝達物質を放出することによって、情報をシナプス後膜へ伝える。


副交感神経系の2番目の伝達物質は同じくアセチルコリンであるが、交感神経系における2番目の伝達物質はノルアドレナリンが担う。副腎髄質を支配する神経は節前線維で終わる。

普通、交感神経の節後線維からノルアドレナリンが放出されるが機能的に見ると伝達物質を放出する代わりに副腎髄質からアドレナリン及びノルアドレナリンが分泌される。

つまり副腎髄質自体が巨大な節後線維として働いていることとなる。



神経節前自律神経細胞の細胞体は中枢神経系に位置し、交感神経系の細胞体は脊髄の内の胸随と腰随にあるのに対し、副交感神経系の細胞体は脳幹(頭蓋副交感神経=迷走神経などの脳神経の一部)と仙随(仙髄副交感神経)に位置している。

自律神経系の機能を担う、主な神経伝達物質はアセチルコリンとノルアドレナリンである。

前述の通り、アセチルコリンは交感神経及び副交感神経の節前線維終末から放出され、ここでの受容体はニコチン性アセチルコリン受容体である。


自律神経節では他にも、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ドーパミン受容体等が存在することが知られており、これらは神経伝達物質というよりはむしろ神経修飾物質と呼ばれ興奮の伝達に関与していると考えられる。

自律神経節のニコチン受容体をブロックするアンタゴニストとしてはトリメタファン、ヘキサメソウニウムが知られており、今日では使用は減ったものの、最も早くに導入された降圧薬である。



アセチルコリン受容体にはニコチン性のものに加えて、他にムスカリン性受容体があり、これは副交感神経支配下の効果器に存在する。

今日では、ムスカリン受容体はM1〜M5受容体というサブタイプが知られ、今後個々の臓器における、これらサブタイプの違いに基づくよりよい薬の開発等が期待されている。

ムスカリン受容体の局在として、副交感神経終末以外に、汗腺支配下の交感神経終末がある。


汗腺は原則として交感神経の一元的支配を受けているが、一方で伝達物質はアセチルコリン、受容体はムスカリン性アセチルコリン受容体であるという点で、特徴的である。

ムスカリン受容体拮抗薬は、循環器、消化器薬として知られるアトロピンが有名である。


近年、マクロファージの細胞表面にニコチン受容体が存在しており、マクロファージの炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-1など)産生、放出に抑制的に作用することが明らかになっている。

このニコチン受容体はその後の解析でα7ニコチン受容体であることが判明し、炎症を伴う種々の病態、すなわち敗血症や関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの新たな薬物治療のターゲットとして期待されている。



ノルアドレナリンは交感神経終末から放出され、副腎髄質からアドレナリンとともに分泌される。

アセチルコリン同様に、(ノル)アドレナリンの受容体にも、サブタイプが存在することが知られ、α受容体とβ受容体に大別される。

交感神経が各器官に及ぼす作用のうち、血管収縮はα受容体によって、心拍数増大はβ受容体によってそれぞれ媒介されている。

このような、受容体の差異を考慮して、交感神経の作用を選択的に再現もしくは遮断するα/β作動薬もしくは遮断薬が臨床的にも応用されている。

今日では、αはさらにα1、α2、βはβ1、β2、β3という下位のサブタイプが存在することが知られている。

β1アドレナリン受容体は主に心臓に局在し心拍数増加、心収縮力増加を介し心拍出量を増やす。

これを踏まえ、β受容体拮抗薬は心機能を抑制する目的で高血圧の患者に用いられる。


逆に心不全のときには、心機能を補助する目的でβ受容体刺激薬が用いられる。

β2は多くの平滑筋に存在するが臨床的には気管支拡張薬として重要である。

β3アドレナリン受容体は、最も遅くに報告された受容体であるが、脂肪組織、膀胱、消化管等に限局して存在することが知られ、β3受容体を選択的に刺激する薬が開発されることで、心臓や気管支に作用することなく脂肪を効率的に減少させることができるのではないかと期待されている。



近年のトピックスのひとつに交感神経系の標的器官としての骨が挙げられる。

動物モデルでは、交感神経系がβ2受容体を介して、骨形成に抑制的に関与していることβ遮断薬が骨形成に促進的に作用することが内外から報告されている。

このメカニズムには脂肪組織から分泌されるレプチンの関与も示唆されており、神経-骨連関として注目されている。


交感神経の軸索はいわゆる交感神経幹として、脊柱のそれぞれの側で、22の神経節の鎖を為す。

これらからの内臓の神経は、大動脈の正面の不対臓側動脈が分岐するあたりにある、

脊椎前神経節へ続く。

交感神経の左右の神経幹は、骨盤の領域で合流し不対神経節を形成する。

自律神経線維により支配される器官は心臓、肺、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、および生殖器を含んでいる。

また、これらの器官は心室以外は副交感神経系によっても支配される。

結腸の後部までの消化器系の末端は骨盤神経節を通して仙骨の副交感神経線維を通して調節される。それより前の消化管は迷走神経支配を受ける。


posted by ホーライ at 02:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 自律神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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