2014年03月24日

全身麻酔とは?

●全身麻酔とは?

全身麻酔(ぜんしんますい、英: General anesthesia)は、麻酔方法の一つ。

中枢神経に薬物を作用させ、無痛、意識の喪失・健忘、筋弛緩、有害反射の予防、の4つを満たす状態にすることで患者の肉体的・精神的苦痛を取り除く。

局所麻酔との大きな違いは意識消失の有無である。

全身麻酔下では患者は苦痛を訴えることができないので、麻酔科医が注意深くモニターする必要がある。

全身麻酔の大きな魅力はあらゆる部位の手術に用いることができることである。

また、麻酔の目的として鎮静(意識消失)、筋弛緩、鎮痛、有害な副交感神経反射の抑制があげられるが、全身麻酔は基本的にはこれらの条件を全て満たす




●概略

全身麻酔は手術に付随する医療である。

典型的な開腹手術を想定して概略を述べる。


術前の合併症や年齢、性別、体重、その他によって麻酔の手順はまったく異なり、それぞれの患者に応じた麻酔が行われるため、この通りに行われないことも多くあることに注意が必要である。

まずは円滑に麻酔を行うために前投与と呼ばれる薬剤投与を行う場合がある。

唾液分泌、気道内分泌の抑制、有害な反射の抑制のために抗コリン薬(アトロピンやスコポラミン)を用いる。

また不安の除去、鎮静、催眠の目的にジアゼパムなどを投与する。

これらは以前は病室で済ませておくことが多かったが、近年は疼痛や合併症を伴う筋肉注射を避けるため手術室入室後に投与することも多い。

手術室に入室すると末梢静脈ルート確保の後、手術部位によっては局所麻酔の一種である硬膜外麻酔用のカテーテルを挿入する。

そして十分な酸素投与を行う。

患者を入眠させる導入という操作では主に静脈麻酔薬であるバルビツレートやプロポフォールと合成麻薬であるフェンタニルを組み合わせて用いる。

患者入眠後はマスクにより気道確保、人工呼吸ができることを確認し、筋弛緩薬を投与する。

筋弛緩薬としてはロクロニウムが用いられることが多い。

筋弛緩薬の効果が得られたら確実な気道確保のため、気管挿管を行う。

その後は人工呼吸を行う。

導入後は吸入麻酔薬であるセボフルランやイソフルラン、または静脈麻酔薬であるプロポフォールを持続的に投与し、麻酔の維持を行う。

亜酸化窒素(笑気)は近年では環境への影響(温室効果)や、術後嘔気嘔吐を招くことから敬遠されることが多い。

手術が終わりに近づくと麻酔薬を徐々に減量し、手術終了すると中止する。

患者の意識が次第に回復するので、手を握ることができる、深呼吸ができるなど、筋弛緩薬の効果の消失、麻酔薬による呼吸抑制の有無などを確認し、条件を満たすなら気管のチューブを抜去する(抜管)。

そして十分な確認の後病棟へ帰室させる。






●●全身麻酔でよく使われる薬物●●

ここでは全身麻酔でよく使われる薬を述べていく。

麻酔薬

●吸入麻酔薬

・亜酸化窒素(笑気)

強力な鎮痛作用を持つが、最小肺胞濃度が高いため単独で全身麻酔をするのは困難である。

以下の吸入麻酔薬と併用して用いられる。

しかし現在では全静脈麻酔(TIVA)の普及や、オピオイド主体のバランス麻酔が普及していること、また、術後の嘔気嘔吐の頻度が高まったり、笑気自体が温室効果の原因となるなど、次第に敬遠される方向にある。

若手麻酔科医は吸入麻酔を用いる際も笑気をまったく用いない者も多く、次第に使用量は減少している。


・イソフルラン(フォーレン)

強烈なエーテル臭と気道の刺激性から、緩徐導入は困難であるが、生体内代謝率の低さから、肝・腎機能の低下した患者の麻酔などで好んで用いられる。


・セボフルラン(セボフレン)

血液ガス分配係数の小ささと臭いが穏やかなことから緩徐導入に向く。

ほぼどんな用途でももちいることができ現在最も頻用されている吸入麻酔薬である。

低流量麻酔下(総流量2L以下)では、旧タイプの二酸化炭素吸収剤との接触により発生するCompound Aが腎機能障害をおこすとされたこともあるが、現在ではほとんど問題とされることはない。



●静脈麻酔薬

・チオペンタール(ラボナール)/チアミラール(イソゾール)

よく用いられているバルビツール系静脈麻酔薬。

小児にも成人にも使用可能である。

喘息には禁忌とされるが、エビデンスはない。


・プロポフォール(ディプリバン、プロポフォールマルイシ)

肝臓での代謝が早く麻酔の導入にも維持にも好んで用いられる現在最も主流の全身麻酔薬である。

疼痛効果がないのでフェンタニルなどの麻薬鎮痛薬や硬膜外麻酔などの局所麻酔と併用する。

小児に対する麻酔目的での使用は禁忌ではないが、避けられる傾向にある。

これは集中治療分野で、長期間鎮静のために投与された患者にPropofol Infusion Syndromeという重篤な病態が発生した報告があるためである。


・ミダゾラム(ドルミカム)

短時間作用性のベンゾジアゼピン。

循環抑制が軽く、重症患者の麻酔導入や、麻酔前投薬にも用いられる。


・ケタミン(ケタラール)

解離性麻酔薬と呼ばれる。

視床、大脳新皮質は抑制するが、大脳辺縁系を賦活する。

血圧上昇、頻脈などをおこす。

体性痛を非常によく抑え、熱傷の疼痛除去でも好んで用いられる。

近年麻薬指定された。


posted by ホーライ at 05:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 全身麻酔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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