2014年07月28日

ニコチン酸&ナイアシン

●ニコチン酸&ナイアシン

ニコチン酸(ニコチンさん、英: nicotinic acid)とは、3つの異性体が存在するピリジンカルボン酸に属する有機化合物である。

ニコチン酸アミドとともにナイアシンとも呼ばれ、ビタミンB3でもある。(ニコチン酸の生理活性は記事 ナイアシンに詳しい。)






●ニコチン酸の歴史

化学的には1867年にアルカロイドのニコチンを酸化して得られるカルボン酸として発見され、ニコチン酸という慣用名を与えられる。

1911年に鈴木梅太郎およびC.Funkらが生体より抗ペラグラ因子(こうペラグラいんし、pellagra‐preventive factor)として単離した。

ニコチン酸がビタミンであることは1937年にC.A.Elvehjemによって明らかにされた。




●製法・生合成

3位に側鎖をもつβ-ピコリンなどピリジン誘導体を硝酸や過マンガン酸カリウムなど強い酸化剤で酸化すると得られる。

また、ピリジン環を構築する方法でも合成される。ニコチン酸の銅塩は水に溶けにくい。

動物・菌類では生体内で、トリプトファンからキヌレニン、3‐ヒドロキシアントラニル酸を経由して、一方、植物や細菌ではアスパラギン酸とグリセロール近縁代謝物質であるC3ユニットとから生合成される。




●ナイアシン (Niacin) は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB3 ともいう。

水溶性ビタミンのビタミンB複合体の一つで熱に強く、糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠である。

循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがある。

欠乏すると皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じる。

エネルギー代謝中の酸化還元酵素の補酵素として重要である。




●一日の目標摂取量

NE(ナイアシン当量)に換算して表記する。

動物性蛋白質に1.4%,、植物蛋白質中に1.0%トリプトファンを含むものとし、また、トリプトファン60mgからナイアシン1mgが生合成されるものとし、食品中に含まれるナイアシン含量に加えてナイアシン当量を算出する。



成人男子 14〜17mgNE


成人女性 12〜13mgNE


許容上限摂取量を30mgNEとする。

さらに、摂取エネルギー1,000kcalに対し4.8mgNEを加える。

100mgNEを超えると過剰障害がおこることもある。

生体内においては、ナイアシンはトリプトファンから生合成される。

ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。

このため、通常の食生活を送る上では欠乏症に陥ることは多くない。

トウモロコシを主食とする場合、トウモロコシのトリプトファン含量が少ないため、ナイアシンとトリプトファンがともに欠乏し、ペラグラなどの欠乏症状を呈する場合がある。

また、ロイシンを非常に多く含むモロコシを主食とする場合、過剰のロイシンにより(トリプトファンをニコチン酸に変換する際に重要な役目を持った酵素である)キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの阻害が起こり、結果として欠乏症に陥る可能性がある。

また、ビタミンB6欠乏もナイアシン欠乏を促進しうる。

統合失調症の治療にナイアシンが効果があるとされている。

カツオ、サバ、ブリ、イワシ、レバー、鶏ささみ、マグロ、シラス干し、たらこ、豆類、コーヒー


以上
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2014年07月23日

スタチンについて

●スタチンについて

スタチン (Statin)、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称である。

1973年に日本の遠藤章らによって最初のスタチンであるメバスタチンが発見されて以来、様々な種類のスタチンが開発され、高コレステロール血症の治療薬として世界各国で使用されている。

近年の大規模臨床試験により、スタチンは高脂血症患者での心筋梗塞や脳血管障害の発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされている。





●スタチンの発見

1971年、三共(現:第一三共)の発酵研究所に所属(当時)していた遠藤章のグループは、HMG-CoA還元酵素を阻害する物質の研究を開始した。

HMG-CoA還元酵素はメバロン酸の合成に必要な酵素であり、メバロン酸は菌類の細胞膜・細胞骨格構成成分の重要な素材であることから、自己防衛手段としてこの酵素を阻害する物質を持つ微生物が存在するのではないかと彼らは考えたのである。

1973年、6,000種に及ぶ微生物を検索した結果、遠藤らはアオカビの一種 (Penicillium citrinum) から最初のHMG-CoA還元酵素阻害薬であるメバスタチンを発見した。


彼らはメバスタチンの構造やHMG-CoA還元酵素を阻害するメカニズムについて解析すると共に、実際に血中のコレステロール値を低下させることができるかどうか、動物実験による検討を行った。

ラット・マウスなど齧歯類では再現性のあるデータを得られなかったものの、ニワトリやイヌ、そしてより人間に近いサルでは血中コレステロール値は20-50%程度低下し、メバスタチンの効果を実証することに成功した。




●スタチンの製品化

ヒトの脂質異常症患者や健康なボランティアを対象にした小規模試験においてもメバスタチンの有効性が示され、1979年に日本国内での臨床試験が開始された。

しかし、長期高濃度投与実験を行っていたイヌで副作用が発生したことを受け、臨床試験は1年余りで中止となった。


一方、メバスタチンの効果に関心を寄せていたアメリカの大手製薬企業・メルク(MSD)社は、遠藤からサンプルやデータの提供を受けながら独自に研究開発を進めた結果、コウジカビの一種 (Aspergillus terreus) から新たなスタチンであるロバスタチンを分離することに成功した。


その後の臨床試験で、ロバスタチンは安全性が比較的高く、メバスタチンと同程度のコレステロール低下作用を持つことが示された。

1987年、アメリカ食品医薬品局(FDA)から医薬品としての認可を受け、ロバスタチンは製品化された最初のスタチンとなった。



高コレステロール血症は(心血管障害・脳血管障害を導く)動脈硬化症の主要なリスク要因の一つと考えられている。スタチンの発見は、高コレステロール血症と関連疾患の予防、および基礎研究に多大な進歩をもたらした。

遠藤と共同研究を行い、コレステロールの代謝・作用機序を解明したアメリカのマイケル・ブラウンとジョーゼフ・ゴールドスタインの2名に、1985年度のノーベル生理学・医学賞が贈られている。

遠藤もまた「スタチンの発見と開発」における一連の業績により、2006年の日本国際賞、さらに2008年には「アメリカのノーベル医学生理学賞」とも言われるラスカー賞(臨床医学研究部門)を受賞した。

日本では、東海大学内科助教授(当時)中谷矩章、京都大学老年科教授(当時)北徹、金沢大学内科助教授(当時)馬渕宏らにより、1989年にプラバスタチン(商品名メバロチン)が製品化された。



●スタチンの作用機序

体内に吸収されたスタチンは、主に肝臓に分布する。

スタチンはメバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することで、肝臓でのコレステロール生合成を低下させる。

その結果、コレステロール恒常性維持のため肝臓でのLDL受容体発現が上昇し、血液から肝臓へのLDLコレステロールの取り込みが促進される。

LDLは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管壁にアテロームを形成して動脈硬化症の原因となる。

コレステロール生合成の抑制が持続することにより、血液中へのVLDL(主にコレステロールとトリグリセリドからなるリポ蛋白)分泌も低下するため、血漿トリグリセリド値も低下する。



●スタチンの副作用

スタチンの投与によってみられる副作用には、腹痛・発疹・倦怠感などのほかに、重篤なものとして横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などがある。

このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあるため、投与時にはクレアチンキナーゼやミオグロビンなど筋原酵素の動態に注意を払う必要がある。

高用量のスタチンを処方した場合、急性腎障害による入院率が上昇するとの報告がある。



●スタチンの相互作用

脂質降下薬の一種であるフィブラート系薬剤とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まることが知られており、これら2剤の併用は原則禁忌とされている。

2001年にはセリバスタチンとゲムフィブロジル製剤を併用した症例で高頻度に横紋筋融解症が発生することが報告され、セリバスタチン製剤の自主回収が行われた。


以上


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脂質降下薬とは?

●脂質降下薬とは?

脂質降下薬(ししつこうかやく、英: LLD, 英: lipid lowering drug, 英: hypolipidaemic agent)にはHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)、フィブラート系薬剤、陰イオン交換樹脂(レジン)、プロブコールなどがある。

また、魚油(EPAやDHA)、植物ステロール、ビタミン剤(ニコチン酸、ビタミンE)にも、日本の健康保険上の適応を持つ製剤がある。




●個々の薬の説明

・スタチン(英: Statin) − 肝細胞のHMG-CoA還元酵素を阻害し、細胞内コレステロール含量を減らしLDL受容体を up regulation (受容体の増加)させて、血液からのコレステロール取り込みを図る。


・フィブラート系薬剤(英: Fibrate) − 核内受容体のPPAR-α(英: Peroxisome proliferator-activated receptor alpha)に作用して、脂質合成に関わる蛋白の合成を制御する。また、LPL(リポタンパク質リパーゼ、英: Lipoprotein lipase)の発現を増やし、血管内皮でのVLDLやカイロミクロンの異化を促進させる。ベザフィブラート(英: Bezafibrate、商品名ベザトールSR)、フェノフィブラート(英: Fenofibrate、商品名リピディル)がある。


・レジン(英: Bile acid sequestrants (resins) ) − 一番歴史がある。体内に吸収されないという意味では安全性が高いので、思春期や妊娠を予定した家族性高脂血症患者にも安心して使用できる。最初に脂質低下療法が虚血性心疾患の予防につながる事が証明された治験 LRC-CTTP (Lipid Research Clinics Coronary Primary Prevention Trial) で用いられた薬である。コレステロールは胆汁で排泄されるが回腸末端まで流れる間に再吸収される(腸肝循環)。再吸収を阻害して便中に排泄すればコレステロール値は下がる。さらに、LDL受容体を up regulation させて、血液からのコレステロール取り込みが増す。コレスチミド(商品名コレバイン)。


・プロブコール(英: Probucol) − 作用機序がまだはっきりしないがスカベンジャー受容体の一種でHDLの取り込みにも携わる SR-BI (scavenger receptor class B type I) 受容体の発現を増やし、HDLの異化をすることでコレステロール逆転送回路を活性化させるといわれる。コレステロール低下度以上に、動脈硬化巣の退縮がみられる。抗酸化作用もあるとされている。プロブコール(商品名シンレスタール、ロレルコ)。


・エゼチミブ(英: Ezetimibe) − 商品名「ゼチーア」(当初は「ゼチア」を予定)。小腸の上皮細胞管腔側に発現するNPC1L1( Niemann-Pick C1 Like 1)を阻害し、コレステロール及び植物ステロールの吸収をプラセボに比べ58%抑制する。容積の多い呑みにくいレジンと違い小さな錠剤で、スタチンとの合剤も開発されている。


・魚油 − 転写因子である SREBP-1 (ステロール調節エレメント結合タンパク質-1)を介して脂肪酸合成を抑制する。またPUFA(多価不飽和脂肪酸)として代謝されPGI3(プロスタグランジンI3)になり抗血小板作用をあらわす。粥種破綻に伴う血栓の予防や慢性閉塞性動脈硬化症における血行改善という効用もあわせもつ。魚は旬があり産地や季節でその脂肪組成は大きく変わり、摂りたくないコレステロールを多く含むトロなどの食材もある。製剤としてはイワシを精製したEPA(エイコサペンタエン酸、商品名エパデール)があり、日本で行われたJELIS試験で虚血性心疾患の再発予防効果が確認された。同じ成分をつかった特定保健用食品(トクホ)も販売されている。


・植物ステロール − コメ油のγオリザノールなど。腸肝循環する胆汁のミセルにとけ込み、動物性脂質であるコレステロールの腸管での取り込みを競合阻害するのでコレステロール値が低下する。医薬品としても販売されているが、特定保健用食品(トクホ)として活用されている。


・ニコチン酸 − 商品名としてペリシット(一般名:ニセリトロール)などがある。レジンやスタチンに併用する例が最近では多い。他の薬では下がらないLp(a)(英: Lipoprotein(a)、リポタンパク質(a)、リポ蛋白スモールエー)を若干下げる。ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称をナイアシン(ビタミンB3)という。


・ビタミンE − 大量投与による動物実験例やコホートでの食事調査によると動脈硬化症を改善するとされるがMicroHOPEやHPSといった前向き試験では有用性が示されなかった。HOPE-TOOでは心不全が増加したという却って悪い結果も報告されている。


・オルリスタット − 日本において合法的に(医師による処方あるいは個人輸入できる)入手できる医薬品のうち、唯一中枢神経系に作用しない肥満治療薬。、ロシュからはXenicalレジスタードマーク(ゼニカル)、グラクソ・スミスクラインからはAlliレジスタードマーク(アライまたはアリ)の商品名で販売されている。




以上


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2014年07月19日

脂質異常症とは?(3)

●脂質異常症とは?(3)

●投薬による治療

スタチン系などの脂質降下薬で、ある程度血中の中性脂肪やコレステロールを下げることができ、合併症の発症リスクが下がるとされる(→根拠に基づいた医療)。

ただし、薬剤治療は脂質異常症の原因を解決するものではないので中止すればまた以前の値に戻ることが多く、そのことを指して「一生やめられない」と表現されることもある。

これは、麻薬のように身体依存性があったり、ステロイド製剤のように急に中止できないという意味ではない。

根本的なコントロールには生活改善が望まれるが、遺伝素因も大きいため必ずしも生活習慣だけで治療できるものではない。




高LDL-Cの治療

HMG-CoA阻害薬であるスタチン系が第一選択となる。

重大な副作用としては肝障害と骨格筋障害が知られている。

筋肉痛といった症状が出現することが多く、筋炎や横紋筋融解症は極めて稀である。

筋疾患や甲状腺機能低下症が認められる場合は横紋筋融解症のリスクが高まるため注意が必要である。

高齢者や肝機能障害、腎機能障害がある場合も注意が必要である。

重症(目標値よりも50 mg/dL 以上高い)であればアトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール)が選択されることが多く、軽症(目標値との差が30 mg/dL 以内)ならばプラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス)、薬物相互作用が気になる場合はプラバスタチン(メバロチン)、ピタバスタチン(リバロ)が選択されることが多い。

相互作用はマクロライド系抗菌薬、アゾール系抗真菌薬、カルシウム拮抗薬など多岐にわたる。




高TGの治療

高トリグリセリド血症の治療には、フィブラートがよく用いられる。

フィブラートにはHDL-Cを増加させる作用もある。

肝障害、横紋筋融解症のリスクがあり、そのリスクは腎機能障害時に増悪する。

また胆汁へのコレステロールの排出を促すため、胆石症を起こすことがあり、既往がある場合は注意が必要である。

またSU剤やワーファリンとの相互作用も知られている。フェノフィブラート(英語版)(リピディル、トライコアなど)とベザフィブラート(英語版)(ベサトールSR、ベザリップなど)が知られている。

フェノフィブラートは尿酸低下作用もあるが、一過性の肝機能障害を起こしやすく、肝障害のある患者では避けられる傾向がある。



LDL吸着療法による治療

LDLアフェレーシスといわれ、重度の家族性脂質異常症を患う人などに行う治療法である。

患者の血液を取り出し、LDLなど不要なものをろ過して体内に戻す方法で、血液中のコレステロール量は急激に減少するがすぐに元に戻ってしまうため、2週間に1度は治療を行う必要がある。

しかし、これも根本的な解決には至らない。




●脂質異常症に由来する疾患

動脈硬化症

自覚症状はない場合が多いが、血管壁に徐々にコレステロールが蓄積され動脈硬化症が進行することで血液の流れが悪くなる。

特に頭蓋内の血管がつまり、脳の一部が死滅する脳梗塞や、心臓の冠動脈の血管が詰まる心筋梗塞になりやすい。

高血圧、糖尿病、肥満とともに「死の四重奏」と俗称され、現在はメタボリック症候群といわれる。




膵炎

膵臓の病気。

大量飲酒者では高トリグリセリド血症(高TG血症)をきたし易く、よく発症する。

また、リポタンパク質の一種のキロミクロンが著しく上昇するリポタンパク質リパーゼ(英語版) (LPL) 欠損症では、膵炎を来し易い。

乳児で乳を呑んだあと腹痛を来すなどの場合、中鎖脂肪酸 (MCT) を主体とした治療用ミルクを必要とする。

妊娠中に発症した場合、血液浄化療法によるキロミクロンの除去や中心静脈栄養による厳密な脂肪制限を必要とする場合もある。


以上


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2014年07月17日

脂質異常症とは?(2)

●脂質異常症とは?(2)

●低HDLコレステロール血症

低HDLコレステロール血症(低HDL-C血症)とは、血液中の善玉コレステロール (HDL) が少ない(40 mg/dL 未満)タイプの脂質異常症である。

特に女性において、心血管疾患の重要なリスクファクターとなりうる。

1997年の国民栄養調査では、日本人の男16%、女5%が該当する。

この病態は脂質が低下して起こるため、高脂血症から脂質異常症へと改名される主な理由となった。



●高トリグリセリド血症

高トリグリセリド血症(高TG血症)とは、血液中に中性脂肪(トリグリセリド)が多く存在する(150 mg/dL 以上)タイプの脂質異常症である。

1997年の国民栄養調査では、日本人の男45%、女33%が該当する。

内臓脂肪型肥満の人に多い。一時期(米国ATP-IIのころ)、その心血管疾患との関連が疑問視されたが、現在ではやはり関連はあると考える人が多い。

RLP-C (Remnant-like lipoprotein particles-cholesterol) が、高TG血症における動脈硬化発症への関与が示唆されている。
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2014年07月15日

脂質異常症とは?

●脂質異常症とは?

脂質異常症(ししついじょうしょう)は、血液中に含まれる脂質が過剰、もしくは不足している状態を指す。

2007年7月に高脂血症から脂質異常症に改名された。



●診断基準および病態による分類

脂質異常症(高脂血症)は診断基準による分類と病態による分類とがあり、診断基準による分類は、高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症といった種類があり、世界保健機関 (WHO) の基準に基づき日本動脈硬化学会が診断基準を定めている。

一方病態による分類はリポタンパク質の増加状態より分類 するもので、世界保健機関 (WHO) の1970年報告に基づき日本動脈硬化学会が2013年版脂質異常症治療ガイドに脂質異常症表現型の分類法として記載した。



●高コレステロール血症

高コレステロール血症(Hypercholesterolemia)とは、血液中の総コレステロール値が高い(220 mg/dL 以上)タイプの脂質異常症である。

生活習慣による脂質異常症の多くがこのタイプである。

1997年の国民栄養調査では、日本人の男27%、女33%が該当する。

フラミンガムスタディにおいて使用されたためこの値と生活習慣病との関連が注目されたという意味で重要だが、最近では悪玉コレステロール(低比重リポタンパク質、LDL)のほうが明らかに心血管リスクとの相関度が高いので、この値の重要度は廃れている。

現在WHO、アメリカ、日本のガイドラインは、いずれも総コレステロール値に注目していない。

但し、LDLコレステロールの直接測定法は、主に日本で使われており、欧米では総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール値から計算するLDLコレステロール値(Friedewald の計算式{LDL-C=TC-(HDL-C)-TG/5}を使用しており、わが国でも日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」からFriedewald(この計算式によるLDLコレステロール値を用いることとなった(注: 計算式は TGが400mg/dL未満のとき有効)。



●高LDLコレステロール血症

高LDLコレステロール血症(高LDL-C血症)とは、LDL中のコレステロール(悪玉コレステロール)が血液中に多く存在する(140 mg/dL 以上)タイプの脂質異常症である。

アメリカ合衆国のガイドラインATP-III によれば、コレステロールの検査値の中では唯一心血管疾患の絶対的リスクファクターであり、他の検査値である善玉コレステロール(HDL、高比重リポタンパク質(英語版))、中性脂肪(トリグリセリド)と比較して明らかに重要度が高い。

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